なぜネットメディアは同じようなタイトルを乱発するのか? 「美人すぎる~」が読者を強く惹きつける“魔法の言葉”である理由
これまで多くのウェブメディアが、アクセス稼ぎの常套手段として、紹介する人物の容姿を絶賛する記事のタイトルに「美人過ぎる……」「美しすぎる……」という表現を使ってきた。この表現、元々は2ちゃんねる(現5ちゃんねる)に登場する言葉で、ウェブメディアもこれらを使うようになった。Yahoo!ニュースのコメント欄では「おぉ、これは美人だな」というコメントはあるが、「美人過ぎるというほどではない」や「今の時代にルッキズムを公のメディアが助長するのはけしからん」という否定的な意見も出る。【取材・文=中川淳一郎】
【写真】全てはこの人から始まった? 八戸市議会議員・藤川優里氏の“やっぱり美しすぎる”姿
別の表現を作ってほしい
確かにそうである。もっとも、2000年代中盤以降は「美人過ぎる」は濫用された。元祖の一人は「美人過ぎる市議」(八戸市の藤川優里氏)だ。その後、美人過ぎるビール売り子(おのののか)、美人過ぎる中華街の甘栗売り子、美人過ぎる海女、美人過ぎるタクシードライバー、美人過ぎる刑事、美人過ぎる元タイ首相、美人過ぎるクリミア検事長などが登場した。近年では、ジョルジャ・メローニ氏が、「美人過ぎるイタリア首相」と呼ばれることもある。
「イケメン過ぎるホームレス(中国人男性)」や「イケメン過ぎるゴリラ(名古屋市東山動植物園のシャバーニ)」などもネットの人気者となった。
ただし、容姿を持ちだして「美人過ぎる」は、我々ウェブメディアの人間もポリコレ的にいいことだとは思っていない。そんな状況ではあるが、「わかっていてもこの言葉、使ってしまうんですよ……」(40代男性編集者)というのが現場のリアルな声だ。要するに、ニーズがあるわけだ。
なぜこの「美人過ぎる〇〇」がためらわれるかと言えば、「その職業にしては美人だ」といった少々失礼な職業差別のニュアンスに加え、女性を見た目だけで評価することが憚れる時代になったからだ。
スポーツ新聞系のウェブメディアでは「美人過ぎる気象予報士」と紹介される穂川果音さんと先日喋ったところ、そう表現されることは嬉しいと言うものの、メディアには「別の表現を作ってほしいです」との注文も。というのも、容姿に対する評価は人それぞれなのに、「美人過ぎる」と安易に表現されるため、読者から「美人過ぎるってほどではない」などと言われがちなのだそう。
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