通わせると「子だくさん」になる奇跡の保育園が熊本に 3人4人は当たり前…秘密は“親の成長”にあった
「第二の青春」
興味深いのは、やまなみこども園では、親として成長した結果、親自身が進んで保育に携わるようになる点だ。
共働きの親であっても、シフトで休みの日に園に遊びに来て子どもたちの相手をしたり、運動会の親の出し物のために2週間以上も特訓をしたり、3日間の泊まりがけのキャンプに大半の父親が参加したりする。この時間を「第二の青春」という人も多い。
一方で、全国的には、保護者の間には園や学校の行事にはなるべく参加したくないという空気が濃くなっている。なぜ、真逆のことが起きるのか。
親の一人は次のように話す。
「私も最初は絶対に行事には参加したくないと思っていたんです。でも、この園には保護者が保育に参加することで、大きな感動とやりがいを得られる仕組みがたくさんあるんです。
それに、保育に参加すればするほど、子どもはびっくりするほどのスピードで成長していく。わずか1週間で別人になったと感じるくらいの成長速度なんです。それに感銘を受けるから、余計に参加したいと思うようになるんです」
道枝は常々、「親に一緒に楽しんでほしくない子どもはいない。子どもは親と共に取り組むから成長する」と語っている。
運動会でも、キャンプでも、遠足でも、自分の親が参加し、夢中になって何かに取り組んでいれば、子どももそれを切磋琢磨して必死にやろうとする。その相乗効果によって、他園では見られないほどの驚異的な成長を遂げるのだ。
これを象徴するのが、全国の園からの注目度の高さだ。運動会でも発表会でも、園児たちが桁違いの演奏や演技をするため、全国から保育関係者の視察が絶えない。それほどここの園児たちの成長速度は高い。
「遠くの親戚より、近くのやまなみ」
さらにもう一つ、親同士だけでなく、地域の人たちが子育てを応援する環境もある。
園では、親同士が普段から親睦を深め、大家族のような関係性を築いている。それによって親同士の関係性が非常に良く、「遠くの親戚より、近くのやまなみ」という合言葉ができているほどだ。
たとえば、園では毎週末のように親たちが、キャンプ、食事会、映画鑑賞、芋掘り、温泉などイベントを開催して子どもたちの娯楽を作っている。自営業で土日も子どもを遊びに連れて行けない家庭の子どもについては、他の家庭が遊びに連れて行ってくれるのが日常茶飯事だ。
また、大人同士が助け合うことは、仕事やプライベートで問題が起きた時にも及ぶ。家庭内暴力があれば、園の先生が介入して解決してくれるし、片親家庭に急な出張が入れば、誰かの親が子どもを数日預かってくれる。
「みんなで子どもを育てれば、子育ての喜びは何倍にもなる」
親たちの口からこうした言葉が自然に出てくるのは、その実感があるからだろう。
さらに、園の近隣住民も、子育てを応援する。園児の散歩の最中に自分の家の庭の柿を採って食べるのを許してくれたり、いかだを作って湖を渡る遊びを応援してくれたりする。
こうしたことがやまなみこども園の保育を一段も二段も質の高いものにしている。保育の教科書として使用されている『子どもとつくる3歳児保育』で紹介される実践の大半が、やまなみこども園のそれであることが物語っている。
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