都内タワマンに家賃を支払わずに住む「原発避難者」 福島県との訴訟に「最高裁判決」、それぞれの言い分
4世帯を提訴したが
《「19年9月期の県議会で提訴の議案は可決されましたが、その後も住民に対し説得を続け、年末には5世帯にも会うことができました。そこで、1世帯は自主的に退去されました。自ら移転先を見つけ、東京から転出されています。損害金についても毎月滞りなく納めてくれています。残る4世帯については明け渡しに応じていただけなかったため、提訴ということになったのです」》(「福島県は提訴 東京のタワマンにタダで住み続ける原発避難民はどうなった?」2021年3月11日配信)
県は4世帯を提訴したが、2世帯とは和解する。福島地裁は残る2世帯に対して宿舎退去と損害賠償の支払いを命じた。これに納得しない2世帯は24年1月に仙台高裁に控訴したが、ここでも福島県側の主張が認められた。朝日新聞はこう報じている。
《高裁は控訴審判決で、「無償使用の継続を許さない限り、生存権が保障されないかのような避難者側の主張は採用できない」と認定。「県は住宅の供与に代わる支援措置を設けている」とも指摘し、一審の判断を支持した》(朝日新聞:24年1月16日)
そして2世帯は最高裁に上告したのである。生活拠点課の担当者は言う。
「2世帯のうち1世帯については上告不受理となり、高裁判決が確定しました。残る1世帯についての判決が今年1月のものでした」
異例の反対意見
判決の主文は《本件上告を棄却する》というものだった。つまり、一、二審と同様、福島県の主張が通り、退去と家賃相当分の賠償を命じる判決が確定したのだ。
ただし、全25ページある判決文の後半16ページは、4人いる裁判官のうちの1人、三浦守裁判長からの反対意見だった。最高裁第二小法廷で「上告を棄却する」と読み上げたのは三浦裁判長だったが、その判決に反対意見を述べたのも裁判長というのは異例の事態である。
反対意見の冒頭は以下の通りだ。
《私は、多数意見と異なり、被上告人は、上告人に対する債権者代位権に基づく建物明渡請求訴訟の原告適格を有しないから、原判決中、被上告人の上告人に対する建物明渡請求に関する部分を破棄し、同部分につき第1審判決を取り消し、被上告人の訴えを却下するのが相当と考える。また、仮に、被上告人が上記原告適格を有するとしても、原審の判断には、災害救助法等の法令の解釈適用を誤った結果、必要な審理を尽くさなかった違法があり、これは、判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、原判決中、上記建物明渡請求に関する部分を破棄し、同部分について事件を原裁判所に差し戻すのが相当である》
一体、どういうことなのか。上告した1世帯(50代女性)の代理人のひとり大口昭彦弁護士に聞いた。
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