有罪判決を逃れようと裁判所を支配下に置いた李在明  韓国の民主主義は「司法改革3法」で完全に壊れた

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 韓国の左派が、「誤った判決」を下した裁判官に刑事罰を科す「法歪曲罪」などを制定した。李在明(イ・ジェミョン)大統領に対する有罪判決を阻止するため、司法支配に乗り出したのだ。韓国観察者の鈴置高史氏は「隣の国の民主主義は崩壊に向かう」と警告する。

標的は最高裁長官

鈴置:韓国国会は2月26日から28日の3日の間に相次いで「司法改革3法」を可決しました。与党「共に民主党」が推進していた法律で、過半数の議席の力により野党の反対を押し切ったのです。

 司法改革3法とは①法歪曲罪=「法を歪曲して適用した」裁判官や警察官らを10年以下の懲役または10年以下の資格停止処分を科す②憲法裁判所改正法=最高裁判所(大法院)の判決が不服なら憲法裁判所に審査を請求できる制度を導入する③裁判所組織改正法=大法院の裁判官を増員する――です。

 李在明大統領は公職選挙法違反など5つ刑事裁判で被告となっています。ただ、大統領に就任したため司法判断により、いずれの裁判も止まっています。もっとも李在明大統領は安心できません。

 公職選挙法で罰金100万ウォン以上の刑が確定すると被選挙権を失います。すると2025年6月の大統領選挙への出馬資格に疑いがつき、当選が無効となりかねない。

 そこで政権側は裁判所に無罪判決を出させるために3法を制定したのです。法歪曲罪は大統領を裁く裁判官に圧力をかけるのが目的です。「法の歪曲」には明確な定義はありませんから、政権は思う存分に裁判官を脅せます。

 憲法裁判所改正法の成立により最終審で有罪判決が出ても、さらに憲法裁判所に上訴できることになりました。現在の最高裁長官(大法院長)である曺喜大(チョ・ヒデ)氏は保守の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が任命した人です。

 2027年6月の曺喜大氏の任期終了まで、裁判所は李在明氏に厳しい判決を下し続ける可能性があります。最高裁長官は裁判官の人事権を握っているからです。そこで政権側は事実上の四審制を導入し、最終審を担うことになった憲法裁判所で無罪判決を勝ち獲る作戦に出たのです。

 裁判所組織改正法の施行を受け、「共に民主党」は最高裁の裁判官を現在の14人から12人増やし26人とするよう求めています。任期満了や定年となる裁判官も出てくるので、いずれ26人中22人が李在明氏の指名により就任する見込み。大統領に不利な判決が下される可能性は極めて低くなります。

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