「人はキスをするとき頭を右に傾ける」は本当か? 165人に聞いてみた結果

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【全2回(前編/後編)の後編】

「人はキスをするときに頭を右に傾ける」、そんなバイアス(傾向)の存在が海外の研究でわかってきた。挨拶の代わりにキスをする習慣がない日本人の場合でも、同じような傾向があるのか。その研究に手をつけたのが、法政大学文学部心理学科の越智啓太教授率いる研究室だった。

強い右側バイアス

 欧米ならば街中でキスをする人も珍しくない。そのため研究対象に事欠かないが、日本の場合、公共の場でキスする人は少ないので観察しようもない。そこで越智教授がとったのは、大学生や社会人165人に自らがキスしたシーンを思い浮かべてもらい、対面調査で聞き取るという方法だった(論文は2024年88巻の『法政大学文学部紀要』に収録)。

「恋人とキスする場合」「親しい家族とキスする場合」「久しぶりに恋人と会ってハグする場合」。被験者にはそれぞれのシーンで、頭が「右」「左」「正面」のいずれかの位置にあるかを回答してもらう。また、同時に利き手についても調査した。

 結論から言えば、日本人の場合も西欧諸国の先行研究と同様に、恋人同士のキスにおいては、かなり強い右側バイアス(キスをするときに顔を右に傾けるバイアス)が生じることがわかった。比率は、右73.9%、正面5.5%、左20.5%である。つまり、約7割の男女が右に頭を傾ける。家族とのキスでは右側バイアスはほぼ消滅、ハグにおける右側バイアスは弱かった。

 また、利き手との関連については、少なくとも利き手の要因のみによってバイアスを説明できるほどの相関性はこの調査では見いだされなかったという。

映画のキスシーンでも

 他に、これまでのところ、越智教授の研究で以下のような内容が分かってきている。

 国内外のドラマや映画のキスシーンを調査したところ、明らかに右側バイアスが生じていることが分かった。ただし、キスシーンが描かれる際、なぜバイアスが生じるかは不明。(参照:『法政大学文学部紀要』2024年89巻)

 また、右側バイアスがかかるのは、人の顔の左半分(左顔)のほうが魅力的だからという仮説があるが、それについても越智教授は論文で発表している。

 日本の女性アイドルグラビア雑誌の表紙に使用されたアイドル写真を分析したところ、顔の左側が写っていることが多く、左顔に偏るバイアスがあることがわかった。左顔が魅力的なのは右顔よりも感情表出が豊かだという説があるが、それを裏付けるような検証結果は出なかった。(参照:『法政大学文学部紀要』2025年90巻)

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