河合優実、永野芽郁、広瀬すず…多感な世代の微妙な揺らぎを描く「卒業式映画」5選【早春の映画案内】

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 慣れ親しんだ学び舎を出て、さらに広い世界へ。将来への期待と不安、在学中の思い出があふれる卒業式を、入学式よりも鮮明に覚えているという人も多いだろう。映画の世界でも、卒業式が重要なテーマとなった作品は多い。いまこの時期こそ観たい「卒業映画」を、映画解説者の稲森浩介氏が解説する。

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いつまでも覚えているよ

〇「少女は卒業しない」(2023年)

 4人の生徒の卒業式までの2日間を描く群像劇だ。満開の桜の下を登校する生徒たち。黒板には「卒業式まであと1日」と書かれている。

 好きな彼にいつもお弁当を作っているまなみ(河合優実)は、卒業式で答辞を読む。東京の大学に行く由貴(小野莉奈)は、恋人と気まずくなっていた。軽音楽部部長の杏子(小宮山莉渚)は、ある部員が気になってしょうがない。ずっと学校に馴染めなかった詩織(中井友望)は、図書室の教師を訪ねる。

 この高校は閉校のため、校舎が取り壊されることが決まっていた。

 卒業式が始まった。まなみは答辞を読むために壇上に向かおうとする。その時、まなみと彼氏の本当の関係が明らかになり、観るものは彼女の哀しみを知ることになる。

 終始静謐な演技を見せている河合は、デビュー以来“河合優実伝説”と言われるほど、注目されていた。本作で映画初主演を果たし、翌年のドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS)で大ブレークする。

 河合が最も好きな場面があるという。軽音楽部の卒業コンサートで、森崎(佐藤緋美)が「ダニーボーイ」をアカペラで歌うところだ。まなみはその声に導かれるように会場に向かう。「そこで初めて聞く素直な反応が出したくて、撮影まで聞かないようにしていました。緋美さんがこのシーンに歌で与えてくれたエネルギーに感動しました」と語っている(「週刊文春CINEMA」2022冬号)。

 恋人に別れを告げた人もいる。好きだったことを伝えられなかった人もいる。最後に友人ができた人もいる。学校はなくなるが、それぞれの思いはここに残るに違いない。

「卒業映画」の名作として長く語り継がれるだろう。

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