日本各地で次々と倒壊…「たかが街路灯」すら維持できない国の暗澹たる未来
突然倒壊する鉄製の街路灯
2月26日に飛び込んできた2つのニュース。それらが同じ日に取り上げられたのは偶然とはいえ、それぞれがこれからの日本に暗い影を差すニュースだった。そのうえ両者をからめて考えると、近未来が非常に怖くなり、同時に、早急に手を打たないと手の施しようがなくなる、という切羽詰まった気持ちに追い込まれる。
【写真】昨年2月に埼玉県で起きた「日本中を震撼させた事故」 今回の街路灯問題と地続きといえる
その1つは、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」が取り上げた、日本各地で街路灯が相次ぎ倒壊しているという問題。もう1つは、2025年に日本で生まれた子どもの数が70.5万人で、少子化のペースは国の将来推計より17年も早いというニュースだった。
1つ目の街路灯の問題から考えてみたい。
最近、日本中のあちこちで街路灯が倒れる事故が頻発している。「羽鳥慎一モーニングショー」では、愛知県豊川市の街路灯が今年1月1日、突然倒壊して、その横を通った自動車が間一髪で難を逃れたドライブレコーダーの映像を流していた。強風が吹いたわけでもなく、老朽化して根元などが腐食した結果であるようだ。
昨年8月、佐賀県伊万里市の商業施設の駐車場で、高さ4.5メートルの鉄製の街路灯が倒れたのも、根元の腐食が原因だった。昨年4月には島根県出雲市で、高さ6メートルの街路灯が歩道側に倒れた。このときけが人はいなかったが、同年1月には同じ出雲市で、集団登校中の児童に向かって街路灯が倒れ、1人が右足の骨を折る大けがをした。
昨年4月、北海道千歳市の駐車場で倒れたものや、一昨年2月、東京渋谷の円山町で倒れたものなどは、強風の影響もあったとされている。とはいえ鉄製の頑丈なはずの街路灯が、風が吹いたくらいで倒れるようでは、怖くて仕方ない。巻き込まれれば、場合によっては命が危険にさらされかねない。
街路灯の維持費用は1兆円?
なぜ倒れるかだが、一言でいえば老朽化で、主に根元のさびや腐食が原因だという。犬のマーキングの影響もあるようだが、一定数の犬がいる以上、街路灯があればおしっこをするだろうから、対策は困難だと思われる。
現在、日本にはおよそ1,000万もの街路灯が立っているといわれる。普及したのは高度経済成長期以降で、いわば短期間に1,000万本が一挙に設置されたと考えても、実態とそう遠くないと思われる。それらがあたらしく設置されるのを見たときは、夜も明るくなって、歩きやすくなるうえ防犯にもつながると、メリットばかりを考えた人が多かったのではないだろうか。
だが、街路灯の耐用年数は、立てられている環境にもよるが、おおむね10年から30年だという。つまり設置したはいいが、日々風雨にさらされるために耐用年数が短く、頻繁に交換し続けないと凶器にもなりかねないシロモノなのである。それなのに、設置後すでに30年から40年以上が経過した街路灯の割合が、全国で非常に高いのだという。
仮に1つの街路灯を交換するのに10万円かかるとして、1,000万本をすべて換えるためには1兆円もの費用がかかる。それが実現できたとしても、安全性を維持するためには、10年から30年(平均して20年としておこうか)ごとに1兆円を要することになる。
街路灯など、私たちの生活を支えるインフラのなかでは「たかが」という印象のものだと思う。それでも、安全性を担保しつつ維持するためには、それほどの費用を要する。ましてや、もっと大きなインフラの維持にかかる費用となると、もはや気が遠くなるレベルである。
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