「太腿を触ると、筋肉がほとんどなく骨の棒のようで…」 要介護にならないための「歩き方」を80代の健康インストラクターが指南

ドクター新潮 ライフ

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三つのテクニック

 そして、この「正しい歩き方」をするにあたって意識すべき「三つのテクニック」があります。足底(そくてい)筋群を使うこと、大腿四頭筋を鍛えること、そして五感を働かせることです。

 まずは足底筋群について。足裏にある一連の筋肉のことで、普段、この筋肉を意識している人は少ないかもしれません。でも、正しく歩くためには足底筋群の働きが欠かせないのです。地面をしっかり蹴るのに大きな役割を果たす上に、足を踏み込んだ際に地面から伝わってくる衝撃を和(やわ)らげるクッションとしても機能してくれます。足底筋群が衰えている足裏は土踏まずのアーチが崩れ、ひどい場合はいわゆる扁平足の状態になり、ダイレクトに衝撃が体に伝わってしまいます。

 足底筋群を鍛えるのにお勧めなのは、まず、床に座って片足の膝を曲げ、足指5本の間にそれぞれ手指5本を絡ませた状態で、足指と手指で押し合いっこをする「手足おしくらまんじゅう」を片足ずつ交代で行うトレーニングです(30秒を両足それぞれ1日3回程度)。また、椅子に座って背筋を伸ばし、やはり片足ずつ、5本の足指で地面をつかむようにギュッと曲げる「足指ギュッと」(秒数、回数は同前)なども効果が期待できます。

 次に大腿四頭筋について。太腿の前側の筋肉で、この筋肉がしっかりしていると足を前に出す力や歩く時の安定感が増します。そもそも、膝が痛くて歩けないという人は、この大腿四頭筋が衰え、足が棒のように細くなっている場合が少なくありません。

 大腿四頭筋を鍛えるには、背中を背もたれにつけないようにして姿勢よく椅子に腰かけ、胸の前で軽く腕を組みながら、片方のひざを伸ばし床と平行になるまで上げる。これを右足、左足、それぞれ10回行うところから始めてみてください。足を上げる際に、つま先は足首と直角にして真上を向くように気を付けましょう。

四つのポイント

 こうして足底筋群と大腿四頭筋を鍛えつつ、続いては歩行時に注意すべき「四つのポイント」を紹介します。

 (1)歩き出す前に背筋を伸ばし、よい姿勢になっているかを確認する。

 (2)かかとから着地する。

 (3)着地したら素早く体重を親指の付け根にある丸く膨らんだあたり(母趾球〈ぼしきゅう〉)に移動させる。

 (4)親指を意識して地面を強く蹴る。

 以上の4点です。

 さらに効果を増すには、大股で歩く(そのためには肘の力を抜き、軽く曲げて前後に腕を自然体で振る)、早歩きとゆっくり歩きを5分くらいの間隔で交互に繰り返す(インターバルウォーキングと言います)を意識するとよいでしょう。

 ここまで紹介してきたテクニックやポイントは、単に歩くだけではなく「歩きの質」を高めるための方策ですが、質の高い歩きを継続するために欠かせないのが五感を働かせることです。

 繰り返しになりますが、歩くこと“だけ”を目的にしてしまうと、どうしても「日課感」「義務感」が出てきてしまいます。結果、続かない。そうならないように、五感を働かせて何でも楽しむことが大切なのです。

 公園に咲く花や、川に来る鳥を見て季節の移ろいを味わう。ショッピングモールや百貨店を歩くのであれば、「このセーターかわいいから子どもや孫に買ってあげたら喜ぶかな」などと心を躍らせてみる(実際は買わなくてもOK)。

 街中を歩くのであれば、すれ違う人が大きなカバンを持っていたらその中身やその人の職業を想像してみたり、幼い子どもたちの集団と遭遇したらその子どもの数を数えて「近くに保育園ができたのかしら」なんて思いを巡らしてみたりする。

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