54歳夫が語る「なぜ妻子を捨てて不倫相手との暮らしに走り、16年ぶりに家に戻ったのか」 すべての始まりは中学時代の同窓会

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もう後戻りできない…

 中学生になりたてのころから四半世紀、「涼子のことは忘れたことがなかった」と彼は涼子さんに言った。「うそつき」と彼女は笑った。その顔がまたチャーミングで、彼は時間も家庭のことも忘れて、涼子さんに没入した。

「その日は結局、夜明け前に帰宅しました。息子たちの寝室に行ったら、ふたりともぐっすり寝ていて。かわいいなと思ったけど、前日までとは気持ちが違っていた。涼子への思いと快感が、僕の体全体に染みこんでいて、もうオレは昨日までのオレとは違うと実感したんです。後戻りできないところに踏みこんだことがわかりました」

 それは涼子さんも同じだったようだ。年上の夫に敬意は抱いていたが、敬意は情熱に負けた。

何があったのと妻に聞かれ…

 翌日、涼子さんから電話がかかってきた。

「私、たぶんあなたを忘れられない。1度きりじゃ嫌、と。僕も同じ思いだった。仕事終わりに会って、なぜか一足飛びに『どこかで一緒に暮らそう』ということになったんです」

 夫として父親として社会人としての常識は吹っ飛んでいた。いったん家には帰ったが、心ここにあらずだと妻にバレた。

「何があったのと綾那に言われ、僕は正直に答えてしまったんです。家を出て涼子と一緒に過ごそうと思うと言ったら、綾那にいきなりビンタされました。何を言っているのかわかっているのと問われ、わかっているけど自分でもどうにもならない、ここにいたら僕は死んでしまうとも訴えたような気がします」

 綾那さんはじっと峻介さんの顔を見つめ、「荷造りして、今すぐ出ていって」と吐き捨てるように言った。彼はとりあえず着替えなどをスーツケースに詰め、息子たちの部屋を覗いた。息子たちには手紙を書こうと思いながら、家を出た。

「その日は涼子とふたり、ホテルに泊まりました。翌日には涼子が賃貸マンションを探してきてくれた。数日、ホテルに泊まってライフラインが開通したところでマンションに入りました。とはいえ、ふたりとも大きな荷物があるわけでもない。少しずつ揃えていこうと言いながら抱き合った。涼子と一緒にいると、もう他のことはすべてどうでもいいという気になっていました」

 母親にも何も言わなかったなと思ったが、それもどうでもよくなった。これからは涼子への愛に生きる。そんな思いで体中から活力がわいてきた。

 ***

 こうしてはじまった峻介さん夫婦の崩壊。【記事後編】では、涼子さんとの生活を経て、綾那さんのもとへ戻るてん末を紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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