韓国「尹錫悦」前大統領に“無期懲役”判決の衝撃…大統領の命運を“選挙”ではなく“裁判”が握る「司法統治」の危うさ

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刑法上最も重い罪

 韓国のソウル中央地裁は19日、2024年12月3日の“非常戒厳宣布”をめぐり、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領に内乱首謀罪で無期懲役を宣告した。検察は死刑を求刑していた。武装蜂起も国家機関の完全占拠も生じていない政治危機対応が、韓国刑法上最重犯罪の一つである「内乱」と認定されたのだ。韓国憲政史の転換点といってよいこの判決は、韓国社会に何をもたらすのか――。【在韓ジャーナリスト/吉田賢司】

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 本来、内乱とは武装勢力が国家を転覆する行為を指す。韓国刑法も歴史的には軍事クーデターなどを想定してきた。

 韓国刑法87条は、国家権力の排除・簒奪または憲法秩序侵害の目的で暴動を起こした者を処罰し、首謀者を死刑または無期懲役に処すると定める。91条は憲法秩序の侵害を、実力行使で国家機関の機能を消滅させたり、転覆を企てたりする行為を定義する。

 要するに、憲法秩序侵害の「目的」と、暴動という「腕力」が結合して成立する犯罪なのだ。

 ところが今回、裁判所はこの暴動要件を拡張したと言える。戒厳軍が国会に投入され、議員や補佐陣と物理的衝突が生じた事実、それ自体を「暴動」と認定したのだ。さらに軍出動の目的を国会機能の制圧にあったと認め、憲法機関機能侵害の故意を認定した。

 この瞬間、韓国の内乱概念は「クーデター」から「権力行使の逸脱」へと転位した。

 前述の通り、内乱は刑法上最も重い罪の一つで、当然、それに見合う明確な故意の証拠が必要とされる。だが裁判所の認定構造はそれとは異なった。決定的だったのは推認の積み重ねであった。

 判決は、国会への兵力投入は憲法機関を麻痺させる意図の表れで、非常措置をめぐる言説は民主的手続きを迂回する計画を示し、指揮系統の配置は国家機関制圧準備を意味するという解釈を重ね、大統領の内乱意思を導いた。

 そしてこれらの推認は、多くの争いのある証言証拠に依拠していた。

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