結婚式の当日に「正社員だから選んだ」と知らされモヤモヤ… 美人妻へのときめきも半年で冷めた45歳夫の“女運”

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【前後編の前編/後編を読む】「母は聖なるものだから」産後の妻は手も握らせない…45歳夫の情欲が向かった先は 今では「冷えた夫婦仲でいい」と割り切るまでに

 かつて女性が結婚相手に求めるものは、三高と言われていた。「高学歴・高収入・高身長」である。景気のいい時代ならではの条件だった。現在は「三安」だという。一緒にいて苦にならない「安心感」、経済的な「安全性」、そして将来にわたる「安定性」である。ときめくような恋愛感情を持つ相手より、一緒にいて気軽な友だち感覚が重視されているのかもしれない。

 結婚は「日常生活の積み重ね」だから、そのほうがうまくいくと長年の間に、人は思い込んでいるのかもしれない。「恋愛と結婚は別」という考え方は現実的だが、ほんの少しさみしい気がするのはロマンティックすぎるだろうか。

「僕が結婚したのは11年前。結婚式のとき、妻の友人から『あなたが正社員なのが決め手だったみたいよ。結婚は生活だからって』とこっそり耳打ちされました。嫌な感じがしたけど、まあ、僕のほうも妻が美人だったからという理由が大きかったので、似たもの同士なのかなと皮肉なことを考えていた。そんなことを最近、やけに思い出すんですよね」

 藤倉寛太さん(45歳・仮名=以下同)は、遠くを見るような目をしながらそう言った。最初は妻の梨惠さんが家にいると思うとウキウキしたが、そんな気持ちは半年ももたなかった。結婚前に妻の長所だと思ったところが、すべて短所に変わっていった。のんびりしたところが向上心のない証拠のように思え、かわいいと思った天然ボケはイライラの種になった。人として敬意を抱けないことに罪悪感すら覚えた。家庭を壊す勇気はない。日々が楽しくない、家に帰るのは気が重い。そんなどうしようもない「ないない尽くし」で自縄自縛状態になっているのだという。

寛太さんの幼少期…ひきこもって学校に行かない兄

 寛太さんは、北関東のサラリーマン家庭の次男として生まれ育った。

「3歳違いの兄がいるんですが、小学校高学年からいわゆる“ひきこもり”状態になりまして。両親は兄にかかりきり。僕は両親の目が届かなかったから、むしろ自由にのびのびと暮らせました。僕が中学に上がったころ、兄が突然いなくなったんです。父方の親戚の家に預けられたと聞きました。跡取りのいない農家だから、兄が自然の中で働いてあとをとればいいということだったようです。ちょっと不可解だったけど、子どもの分際では何も言えなかった」

 ひきこもって学校にも行かない長男を、親は持て余したのだろうと寛太さんは思っている。だが親には親の葛藤があったのだろう。その後、仲がいいように見えていた両親の間に亀裂が入り、寛太さんが高校生になったころ離婚した。

「父親が出て行った日のことはよく覚えています。僕にとっては突然だった。両手に荷物をもった父から、玄関で『おまえがおかあさんを守ってやれよ。困ったことがあったらいつでも相談に乗るから、会社に電話してきていいから』と言われました。高校生にもなった僕の頭を、父はずっと撫でていた。父は優しい人でした」

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