「あんたに似た遺体を見つけた」母に告げられたその晩、枕元に“それ”は現れた… 怪談作家が読み解く「正体」とは【川奈まり子の百物語】

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【前後編の後編/前編を読む】なぜ?「首吊り」が多発する埼玉某所の公園を怪談作家が訪れた 地元で噂される“若いカップル”の悲劇譚【川奈まり子の百物語】

 これまでに6,000件以上の怪異体験談を蒐集し、語り部としても活動する川奈まり子が世にも不思議な一話をルポルタージュ。

 その公園に足を運んだのは7~8年前のことだ。怪談作家である「私」の友人が連れて行ってくれた「首吊り自殺の多すぎる公園」……ここは過去、若いカップルが襲われた事件があり、被害者男性はそれを苦に公園で首を吊ったという。友人が知る限りで「10人以上」が自死を遂げた場所……。どういう因果か「私」は再び、その公園の話を聞くことになる。

 ***

 去年の秋頃に、例の公園からほど近い住宅街に住んでいる若い女性から、こんな話が寄せられた。

「私の母が、朝、犬の散歩をしたときに、公園で女性のご遺体を見つけてしまいました。警察に通報すると、現場に落ちていた女性の持ち物……たぶん免許証か何かだと思うのですが、それを手掛かりにしてすぐにご家族に連絡が取れまして……母がまだ公園で警察の人と話をしているところへ、ご遺族が駆けつけたそうなのです」

 遺族は女性の母に「娘が自殺したことを表沙汰にしないでほしい」とその場で訴えたそうだ。

「母は『もちろんです』と約束したのですが、帰宅すると、さっそく私に話してしまいました。表沙汰にするのと口外するのは、似ていますが……まあ、違いますよね? 母は誰かに話さずにはいられなかったのです」

 首を括って死んでしまったようだ、枝に結んだロープがほどけたんだろう、根もとに座り込んでいる死体の首にロープが巻きついていた……と、母は女性に説明した。

「その他にも20歳そこそこの若い女性だったとか、髪はセミロングで美容院に行ったばかりのように見えたとか、金色のピアスをしていたとか、薄手の洒落たブラウスとロングスカートを着ていたとか……憶えていることを全部、しゃべったのです。あげくのはてに、『あんたは、ああいうことをしないでちょうだい!』と母は言いました」

 彼女は呆れて、母親をたしなめた。

女性の話

「『そんなことを言っちゃダメだよ』と。『何かよんどころない事情があって、どうしようもなくなって死を選んでしまったんだろうから〝ああいうこと〟呼ばわりはヒドイんじゃないかな』って……」

 すると母は急に泣き出した。

「『怖かったんだよ』と言ったんです。『一瞬、死んでるのは、あんたかと思った。そんなはずはないのに、あんたが自殺したのかと思って驚いた』って。

 どうやら、亡くなっていた女性と私は、ヘアスタイルや服の趣味が似ていたようなんですよ。年齢も近そうですし。

 その日は仕事が休みで、母が犬の散歩に行っている間、私は家におりました。

 母だって、それが私のはずがないことは承知していたはずなのに……。

 うちは私が学生の頃から父が単身赴任していて、もう10年近くも母と私の2人暮らしをしています。だから母は強く不安を感じたのかもしれません。母はさみしがり屋で、しょっちゅうLINEを送ってくるたちです。

 そのときも『もしもあんたが死んだら、私も生きていられない』なんて言ったんですよ。

 その日は特に不安が強かったと見えて、夜まで私にベッタリでした。

 深夜まで一緒にお酒を吞みながらパソコンで映画を見て、やっと母から解放されたのは0時頃です。
 
 私は疲れていたのですぐに眠ってしまったのですが、おそらく午前3時か4時頃に、突然目が覚めてしまいまして……」

 女性の話はまだ続くようだった。

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