「犯罪経験に乏しい素人だからこそ歯止めがきかなかった」 ルフィ事件の実行犯が「90歳の被害女性をバールで殴る」異様かつ凄惨な暴力に手を染めた理由
第1回【90歳女性を惨殺した「ルフィ事件」と07年「闇サイト殺人」に通底する“鬼畜の共通点”…アウトロー専門家は「人間は集団になると、どんな残虐な行為でも可能になる」】からの続き──。2022年から23年にかけて全国各地で発生した“ルフィ”広域強盗事件では実行役が残虐な暴力を振るう姿に多くの国民が衝撃を受けた。東京都狛江市の強盗殺人事件で実行役はバールで90歳の女性を何度も殴り続けたのだ。(全2回の第2回)
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『闇バイトの歴史「名前のない犯罪」の系譜』(太田出版)の著者、藤原良氏は、実行役の常軌を逸した暴力の背景として人間の“集団心理”を挙げる。1人では怖じ気づいてしまう行為でも、3人や5人のグループなら心理的なハードルが下がってしまう。
その上で藤原氏は「インターネットを通じて、犯罪の経験が少ない“素人”がグループに参加してしまうことも大きな影響を与えています」と指摘する。
「犯罪者が一堂に会し、次の犯罪計画を練るというということは昔からあったのです。例えば意外かもしれませんが刑務所です。刑務所は矯正の効果を上げようと、同じぐらいの前科を持ち、類似した犯罪に手を染めた受刑囚に雑居房で共同生活を送らせます。こうして薬物犯は薬物犯、強盗犯は強盗犯の雑居房が誕生するわけです。ところが、これが皮肉な副産物も生みます。似ているが故に仲間感覚が生まれ、『出所したら、またやろう』と意気投合するケースも少なくないのです。ただし重要なのは、受刑者は“犯罪に手を染めて失敗した”という手痛い経験を持っていることです。警察の圧倒的な捜査力や、逮捕されると辛い目に遭うと骨身に染みています。たとえ犯罪の計画を練るにしても、それなりに抑制的な内容という場合もあるのです」
「闇バイト事件」と「闇サイト事件」
闇バイトの応募者で構成される犯罪グループには、幹部、指示役、実行役を含めて「これまで犯罪に手を染めたことがない」という人間も含まれる。たとえ前科があるにしても、強盗殺人ほどの凶悪事件に携わった人間は極めて少ない。
「犯罪の経験が少ない人間が、インターネットというバーチャルな空間で犯罪の計画を練ります。この場合、“素人の妄想”が加速し、歯止めが利かなくなってしまう場合が多いのです。強盗の経験がない指示役が『住人に暴力を振るって金庫のありかと解錠の方法を言わせろ』と指示し、同じように強盗の経験がない複数の実行役が数の力を頼んで暴行を振るう。こんな素人ばかりの犯行グループでは、暴力がエスカレートしないほうが不思議だとも言えます。もし強盗の経験を持つ人間が現場にいれば『暴力をふるっても住人は金庫の場所は言わない』とか『これ以上、暴力を振るったら死んでしまう』と止めに入った可能性は低くないと思います」(同・藤原氏)
藤原氏が「闇バイト事件」の原点だと指摘するのが2007年8月に発生した「闇サイト殺人事件」だ。
確かに殺人や強盗の経験がない3人の“素人”がインターネット上で知り合い、「若い女性を拉致して金銭を奪う」という妄想を加速させて犯罪を実行。歯止めが利かなくなって女性を殺害してしまう──確かに“ルフィ”との共通点が認められる。
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