「家事なんて嫌ならやらなければ」ドライなバリキャリ妻に疲れた…見た目ドンピシャでスピード結婚、2年で離婚を考えた

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イラッとする義母

 仕事も少し落ち着いてきたし、今ならいいタイミングだと思うと結衣さんは言った。離婚を考えていた晃匡さんには、「バッドタイミング」だったが、子どもができたのはうれしかった。これで結衣さんとの生活も少しは変わるかもしれないと感じた。

「ところが結衣はすごかったですよ。つわりもほとんどなく、臨月に入っても仕事をしていた。娘を出産して2ヶ月で仕事に戻りました。もっと体をいたわってほしいと思ったけど、『大丈夫だから』と笑っていた」

 結衣さんの母親が毎日、通ってきてくれていた。だがそのうち、平日は母親が泊まり込むようになった。そのおかげで、晃匡さんは「ごく普通の家庭料理」を食べられるようになったが、家に帰っても気詰まりだったため、食事が終わると自室にこもった。家庭の団らんという言葉が恋しかった。

「私の母に遠慮はしないでと結衣は言いましたが、そうもいかない。しかも結衣の母親というのが案外口うるさくて。僕が娘を抱き上げると『ああ、危なっかしいわねえ。ふだん抱いてないからね』とか『ミルクをあげるときの哺乳瓶の角度が違う』とか、ちょっとイラッとくるようなことを言うんです。それでどうしても義母から遠ざかる。すると娘からも遠ざかるという悪循環でした。かわいい、いとおしいと思うけど、義母がいるから積極的にめんどうを見る気になれなかった」

妻の様子がおかしい

 結衣さんは、そういうところにはまったく気を回そうとしなかった。彼女自身がストレートすぎる性格なので、夫が何を憂えているのか何に気がひけているのかを考えようともしないのだ。まっすぐで目的のためには手段を選ばないところがあり、それは仕事の面ではいい方向に作用するが、プライベートな人間関係にはときに摩擦を起こしかねなかった。だが摩擦を起こしたとしても、彼女は気にもとめないようだった。

「こういう人だと思ってつきあっていくしかない。娘が生まれてからは、そう考えることにしました。基本的には一緒にいて楽しい人だから、欠点も含めてまるごと受け入れるしかないと僕自身があきらめたのかもしれません」

 娘が小学校に上がっても、結衣さんの働き方は変わらなかった。義父の体調がすぐれないこともあり、義母は学童保育から帰宅した娘を待ち受け、数時間で帰ってしまう。晃匡さんがなるべく定時で帰るように心がけた。心置きなく仕事をしたいと思うこともあったが、なんとかギリギリのところで踏ん張っていた。

「あの頃、妻の様子が少しおかしいと思うこともありました。本当に仕事で帰宅が遅いのかなと。ある晩、たまたま妻の部屋の前を通ったら、ぼそぼそしゃべる声が聞こえたんですよ。『そんなこと言わないでよ』『私の気持ちはわかってるでしょ』と言っていました。それだけで浮気だと決めつけてはいけないけど、深夜でしたからねえ。疑い始めるとキリがなかった。そのとき感じたのは、男としての嫉妬ではなかった。僕に家庭のことを押しつけておいて自分は勝手なことをしているんじゃないかという、彼女の理不尽さへの怒りだった。それなのに、正面切って、浮気してるんだろうとは言えなかった。言ったら、結衣のことだから白状したかもしれないけど、娘のことを考えると、そんなことを暴いても誰も得をしないと思っちゃったんですよ」

 妻の浮気を疑いながら、その後、晃匡さん自身が「恋の闇」に落ちていくとは、そのときはまったく予想もしていなかった。

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記事後編】では、晃匡さんの言う「すべてを失った」出来事の一部始終が明かされる。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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