弁護士芸人の漫談「弁論」人気のワケ 冤罪事件も生活保護の問題点も「笑い」に昇華させる唯一無二のライブ
驚きと信頼感
こたけ正義感はこの無人の荒野に降り立って、その土地を見事に開拓してみせた。社会的な問題を扱っているのに、堅苦しくないし、説教臭くないし、押し付けがましくもない。あくまでも笑いを生むための手段としてナチュラルにそういうテーマを取り上げている。
だからこそ、「弁論」はお笑いファン以外の多くの人の心にも刺さった。今まで誰もやっていなかったことを高いレベルで成し遂げたことで、お笑いの世界の外側にも訴えかける力を獲得した。
多くの人が「弁論」を絶賛するのは、単に面白いからというだけではない。そこには、今まで見たことのないものを見せてもらったという驚きや、扱いの難しい問題を専門的な視点でわかりやすく語ってくれたという信頼感がある。
インターネットを通して、複雑な背景のある社会問題が極端に単純化されて語られがちな状況の中で、こたけ正義感は専門家としての正確さを保ちながらも、一般の人々に届く言葉で話ができる貴重な存在なのだ。
彼の語りは、特定の政治的立場に偏っているわけでもない。あくまでも法律と論理に基づいて物事を考える姿勢が貫かれている。彼が党派性を超えた普遍的な問題意識を持っているからこそ、そのパフォーマンスは幅広い層に伝わるものになっている。
笑いは現実から目をそらすためのものではなく、むしろ現実を正面から見つめるための入口にもなり得る。そのことを現役の弁護士という立場から漫談というシンプルな形式で証明してみせた点に、このライブの本質的な価値がある。
こたけ正義感の「弁論」は、一過性の話題作にとどまらず、日本のお笑いの地平を押し広げた試みとして、今後も長く語られていくはずだ。
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