AIには「すでに中堅コンサルタントと同等の能力がある」 相次ぐ“大規模リストラ”に業界激震…最後まで生き残るコンサルの「3条件」とは

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指示に対する結果提出が圧倒的に早い

 もちろん、AIも最初はズレた結果を出してきたりするのだが、「そうではなく、こういう方向性でやってくれ」と指示を出し、修正することを繰り返していくと十分使える結論に辿り着く。面白いことに、この試行錯誤の過程は人間のコンサルタントとAIで全く同じことをやっているのだが、問題は、AIのこの試行錯誤のPDCAを回す早さが人間のコンサルタントより圧倒的に早いことだ。

 人間のコンサルタントであれば「このテーマについて考えて」と言って、例えば数時間から1日は時間を与えていたが、AIなら1分で結果を出してくる。また、その結果を打ち返してというサイクルを短時間で多数回せるので、人間のコンサルタントとやる場合よりも下手するとアウトプットの質も高くなっている。

 ただし、使い方にはコツがあって、ふわっとした問いや大きすぎる問いを投げると、AIもトンチンカンな結果を返してくる。ある程度細かい問いに分解し、前提条件や考えて欲しいポイントを細かく指示することが重要だ。指示するところが難しいのでは? と思うかもしれないが、AIにはいくらでも考えさせることができるので、最初ふわっとした問いでもそこを細かくする作業を人間がやる必要はなく、AIとの対話の中で求める粒度にまで高めさせればいい。

 つまり、指示さえサボらなければ相当使える。逆に言うと、このあたりが今日現在のAIの限界でもある。冒頭、今のAIは中堅コンサルタントレベルになっていると述べたが、シニアのコンサルタントであれば対話や指示がなくても同じような結論に辿り着く。

AIが「中堅コンサルタント」どまりの理由

 ここから言えることがある。つまり、2026年の今の時点では、AIは中堅のコンサルタントは代替できるが、シニアコンサルタントやマネジャーの仕事は代替できていない。この差はどこから生まれるのか?

 中堅のコンサルタントになくて、シニアコンサルタント以上にあるもの。それは、過去の経験における「答え」の蓄積だ。「この場合にはこんな論点が出てくるはずだ」「こんな論点に対してはこんな整理があるはずだ」そういった蓄積があるから、AIの出してきたものに対して「もっとこうやってくれ」と指示できる。そして、中堅のコンサルタントはそれができない。経験の蓄積がないから、AIが出してきたものが正しいのか、ズレているのか、判断がつかない。

 AIの進化のスピードを考えれば、更にレベルアップをし、数年後にはシニアコンサルタント以上の仕事も奪っている可能性は高いと考えられるが、今現在のことだけで言えば、最も深刻な影響を受けているのは中堅までのコンサルタントだ。顧客と対面で対話し、顧客の求めていることを推し量り、プロジェクト全体のストーリーを描く。そして、ストーリーを構成する論点や論点に応えるための分析結果のクオリティを担保する――これらの骨格にあたる部分はまだ人間の仕事だ。一方、この骨格に肉付けする中堅までが負っていた仕事はほぼAIで代替できる。

 そうすると、どうやって若手の育成を行うかが問題になる。今、若手がやっていた仕事はほぼAIに置き替わり得る状況になっている。若手が研鑽を積む場が急速に失われつつある。例えば、かつては議事録を書きながらロジカルシンキングを磨いた。論点整理も全然違うと上に怒られながら何度もやり直しさせられた。そうした場がAIによって消失しつつある。

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