「自分本位で毒舌」が「謙虚で前向き」に激変 ゴルフPGAツアー“出戻り復帰戦”で、ケプカはなぜ「まるで別人」になったのか
なにかケプカを変えたのか?
ケプカの考え方やモノゴトに対する姿勢、彼の人柄までもが大きく変化したことは、誰の目にも明らかだった。
彼を大きく変えたものは、2023年7月に息子のクルーくんが生まれ、父親になったという立場と環境の変化がまず考えられる。
そして、リブゴルフへ移籍したものの、やっぱりPGAツアーへ戻りたいと思ったとき、復帰のための手助けを快く引き受けてくれたタイガー・ウッズやPGAツアーのブライアン・ローラップCEOへの感謝の念が、ケプカの心に響き、それが彼を変えたとも考えられる。
古巣のPGAツアーを背にしてリブゴルフへと移ったケプカのことを、誰も責め立てず、恨み言を言うこともなく、救いの手を差し伸べたことが、彼に変化をもたらした。
そして、ケプカが不安に思っていたトーリーパインズのギャラリーの反応はと言うと、
「ほぼ毎ホール、人々は僕に『ウエルカム・バック』『おかえり』と言ってくれた。ネガティブな反応は見られなかった。それは本当にうれしいことだった」
笑顔で温かく迎えられ、ケプカはようやく安堵したという。
実は不器用なだけだった?
肝心のゴルフはと言えば、リブゴルフ移籍後もメジャー4大会には出場していたが、PGAツアーのレギュラー大会に出たのは4年ぶりとあって、試合勘はすっかり鈍り、予選通過が精一杯で56位タイに終わった。
昔のケプカなら絶対に満足しない下位だったが、今のケプカにとっては「4日間プレーできて、とても満足。いいショットも打てたし、好感触も得られた。あとは自分のゴルフをここでしっかりできるよう調整し、調子を上げていくのみだ」と明るい表情で語った。その姿は、昔のケプカとは、やっぱり別人のように謙虚で前向きだった。
とはいえ、昔のケプカが「悪人」や「嫌な人」だったというわけではない。彼の言動は、自己中心的ではあったが、誰かを傷つけたり、陥れたりするものではなく、かつての毒舌ぶりも、柔らかい物言いが苦手で不器用なだけだったと見ることも、できなくはなかった。
心優しい面もあり、信頼しうる人物でもあることは、長年の相棒キャディ、エリオットが片時もケプカの傍から離れていないという事実に目をやれば、「なるほど」と頷ける。
エリオットは、PGAツアーにデビューしたケプカが2015年WMフェニックス・オープンを制して初優勝を挙げる以前から、ケプカのバッグを担いでいた。これまでケプカが挙げたメジャー5勝を含むPGAツアー通算9勝も、リブゴルフで挙げた個人戦5勝も、すべてエリオットとともに挙げた勝利である。
長年の相棒が寄せる絶大な信頼
ケプカがリブゴルフへ移籍すると、エリオットも一緒にリブゴルフへ移った。そして、ケプカがPGAツアーへ戻ると、エリオットも一緒にPGAツアーに戻った。
「ブルックスが行くと決めた場所へ僕も行く」
キャディから、これほど信頼され、忠誠を誓われているケプカなのだから、人間的魅力が無いはずはない。ケプカは信頼しうるボスだと信じているからこそ、エリオットはどこまでもケプカに付いていっているのだと私は思う。
エリオットいわく、「ブルックスは、PGAツアーは悪くない場所だと感じたから、戻ろうと思ったんだと思う」
そしてエリオットは、ケプカは悪くないボスだと信じ続けているからこそ、ケプカと行動を共にしているのだろう。
選手とキャディの関係は微妙なもので、「長年の相棒」などと言われながら、結局、決別してしまうケースが多い。
そんな中、PGAツアーからリブゴルフへ、リブゴルフからPGAツアーへと主戦場を変えながら、10年以上も続いているケプカとエリオットの強い絆。それを知れば、ケプカは、復帰劇を通じて人柄が変わったのではなく、本当はそもそもナイスガイで、その一面が見えなかっただけ、見せていなかっただけなのではないか。
そんな見方も広がりつつある。
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