「自分本位で毒舌」が「謙虚で前向き」に激変 ゴルフPGAツアー“出戻り復帰戦”で、ケプカはなぜ「まるで別人」になったのか

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デシャンポーとは犬猿の仲に

 メジャー大会を次々に制した後、周囲から「本当にメジャーに強いですね」と褒められると、ケプカは「当然さ」と言わんばかりの表情で頷き、「レギュラー大会の成績は気にしていない。どうでもいい」と発言。選手からもファンからも顰蹙を買ったことがあった。

 2019年全米オープン開幕直前、練習ラウンドを行った選手たちから、USGA(全米ゴルフ協会)のコース設定が「厳しすぎる」という批判が巻き起こった際も、ケプカはこう言い放ち、さらなる顰蹙を買った。

「フェアウエイとグリーンをちゃんと捉えるゴルフをしていれば、どんな設定でもノー・プロブレムだ。あれこれ批判している選手は、それができていないというだけのことだ」

 メジャー大会ではなくても、日ごろからプレーペースがスローだと感じた選手のことは、それとなく示唆するのではなく、名指しで「彼はスロープレーヤーだ」と指摘すること、しばしばだった。

 その流れで、やはり当時はPGAツアーの選手だったブライソン・デシャンボーと犬猿の仲になった。デシャンボーは話し合いや歩み寄りの意思を示した一方で、ケプカは一歩も引かない姿勢を貫いていた。

 とにかく唯我独尊で頑固。そして、とんでもなく強心臓。「だからメジャー大会に強いのだ」と皮肉交じりに評されていたケプカだが、実際、彼はメジャーにめっぽう強かった。

PGAツアー復帰戦は「まるで別人」

 PGAツアー時代のケプカは、2017年と2018年に全米オープンを連覇し、全米プロでも2018年と2019年に連覇を達成。2022年にリブゴルフへ移籍してからも、2023年全米プロを制覇し、メジャー大会では通算5勝をマーク。「世界一強い男」と呼ばれた日々もあった。

 そんなケプカが、大会初日を前にして「ナーバスだった」「ドキドキしていた」なんて信じられないと思った方々は、少なくなかったに違いない。

 しかしケプカは、トーリーパインズに詰めかけた大勢のギャラリーが自分に対してどんなリアクションを見せるのかが気になってたまらず、「心臓がバクバクしていた」「とても緊張していた」と告白した。

 初日のスタート前はもちろんのこと、18ホールを回り終えるまで、胸の高鳴りは収まらず、震える思いだったという。

「あのケプカ」が、なぜそこまで緊張したのか。ケプカはケプカなりに、こう分析した。

「観戦に来ていたギャラリーが僕のことをどう思っているか、僕は人々からどう迎えられるのかが、まず不安だった。そして、もう1つ。会場に連れてきていた息子に、いいプレーを見せたいという気持ちが強かった。このPGAツアーでプレーしていること、プレーできることの素晴らしさを我が子に知ってほしいし、感じ取ってほしい。そう思ったら、ドキドキが止まらなくなった」

 興奮と緊張の中で戦ったケプカは、さらにもう1つ、こんなことも思ったそうだ。

「ゴルフに再び恋する自分が、そこに居た」

 まるで詩人のようなフレーズまで口にしたケプカは、尊大で少々横柄でもあった昔のケプカとは、まるで別人だった。

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