「減税のありがたみはすぐに消える」 専門家が指摘 突如として変節した高市首相の思惑は?

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小売りに大混乱

 さらに秋葉社長は、減税ならスーパーなどの小売りに大混乱が起こるとみる。

「“税率変えます”“2年後には戻します”なんて簡単に言いますけど、値札に付けるポップを作り直すのは大変な作業ですよ。例えばウチは10店舗合わせて4万枚近いポップがある。1店舗あたり生鮮食品だけで1000品目、加工食品を含めたら3500品目くらい扱っていますからね。税込み価格と本体価格どちらも表示しないといけないので、全部作り直さなきゃいけません」

「アキダイ」のポップは単なる値札ではないと言う。

「商品名と値段を書くだけではなく、大根だったら“煮ても最高”とか“お買い得”など、商品の魅力を伝えるコメントも書いています。これを全商品、一気に作り直すのに、どれだけの時間と労力がかかるのか。ウチは機械で出力していますが、1枚のポップを作るために文字を打ち込むのは手作業ですからね」

 商品によって差はあるが、どうしても売りたいという気合の入った一品なら、ポップ1枚を作成するのに3分前後は要するそうだ。

「4万枚を作り直すわけですから、バイトの子にやってもらってもけっこうな人件費がかかります。それを2年たって税率が戻ったら全部作り直しだなんて……。大量のゴミが出ますね」

 就任直後、高市首相が減税は困難だと言い訳にしていた「レジの壁」が克服可能なのかについては、

「ウチは新しいタイプのレジだから一晩で設定変更できますけどね。古いレジを使う店は、商品ごとに一つ一つ登録し直さないといけない。1000品目扱っていたら、それだけ手間がかかる。結局、簡単に減税だって言っても、民間企業に大きな負担がかかる可能性が高いと思います」

 物価高の最前線に立つ秋葉社長が、肌感覚で抱いている懸念は消費者である庶民にも他人事ではない。

 後編では、消費税減税が国民にとってプラスにならない理由について報じる。

週刊新潮 2026年2月5日号掲載

特集「『みんなで渡れば怖くない』 物価高騰で『消費減税』合戦の無責任」より

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