「減税のありがたみはすぐに消える」 専門家が指摘 突如として変節した高市首相の思惑は?
【全2回(前編/後編)の前編】
一世を風靡したツービートの名文句を彷彿とさせる選挙戦が始まった。「みんなで渡れば怖くない」とばかりに、ほとんどの政党が「消費税減税」を声高に唱える今回の衆院選。物価高騰で歓迎する声もあろうが、無責任な公約は未来への“赤信号”に等しいのだ。
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【写真を見る】「激ヤセ」が心配される高市首相 以前と比較すると「まるで別人」
「皆が同じように考えている時は、誰も深く考えていない」――米国のジャーナリストで政治批評家でもあったウォルター・リップマンが遺した言葉である。
「ステレオタイプ」「冷戦」といった概念の生みの親の一人であるリップマンは、生前2度もピューリッツァー賞を受賞。20世紀のジャーナリズム界に多大な貢献をしたとされる。かような慧眼(けいがん)を持つ彼が今回の選挙戦を評すなら、冒頭の至言を口にするかもしれない。
明日2月8日に投開票が行われる衆院選は、猫も杓子(しゃくし)もとばかりに大半の政党が「消費税減税」を公約に掲げている。国の在り方を左右する税制。しかも、これまでの選挙では与野党対立の象徴だった消費税で、各党が横並びの公約を掲げたのは異例の事態である。
事実、「消費税より社会保険料改革」を最優先に掲げるチームみらいを除けば、与野党の公約は方針の違いこそあれ“減税合戦”の様相を呈しているのだ。
豹変した野田共同代表
野党で最大勢力を誇る中道改革連合は「食料品への軽減税率8%を恒久的に0%」とした。中道の野田佳彦共同代表(68)は1月22日に「財源を明示して、この秋から実施する」と述べたが、そもそも前回の消費増税を断行したのは誰だったのか。
振り返れば、旧民主党政権下で首相だった野田氏は、2012年の「社会保障と税の一体改革」で党の分裂を招きながらも、当時5%だった消費税を段階的に10%まで引き上げる三党合意を推し進めた。一昨年の立憲民主党における代表選でも消費減税を否定したにもかかわらず、豹変したのである。
経済アナリストの門倉貴史氏に聞くと、
「財政規律を重視する立憲民主党は、昨年の参院選で、食料品にかかる軽減税率を原則1年(最大2年)0%とする公約を掲げました。その立憲と今回手を組んだ積極財政派の公明党は、物価高対策のための一時的な引き下げは不適切だとして、恒久的な引き下げを主張していました。中道を立ち上げた立憲にとっては従来の公約を破棄することになったわけです。短期間のうちに主張がコロコロ変わるだけでも、政策の実現可能性に対する国民の信頼が低下してしまうのではないでしょうか」
対する与党・自民党と日本維新の会の公約は、中道と同じく食料品に対象を絞って0%。ただし2年間に限るとした条件に加え、高市早苗首相(64)自らが「検討を加速する」という曖昧な言い方ながら対抗意識を鮮明にした。
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