日テレは「下請け」に転落か WBC放映権をNetflixに奪われ…野球中継70年の伝統が揺らぐ日

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計15試合の映像制作

 1月29日、日本テレビは3月に開催されるワールドベースボールクラシック(WBC)について、Netflixが独占ライブ配信する映像の中継制作を受託し、地上波で関連特番を放送すると発表した。1次ラウンドの10試合と準々決勝以降の5試合、合計15試合の映像制作を担当する。また、「プロモーションパートナー」としてNetflixと連携し、開幕特番など9枠の特別番組も地上波で放送する予定だという。【ラリー遠田/お笑い評論家】

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 しかし、既報の通り、WBCの試合そのものはNetflixが独占配信することになっており、地上波では一切放送されない。日本テレビは70年にわたる野球中継の伝統と技術力を誇る局だが、今回のWBCでは放映権そのものを獲得できず、あくまで映像制作と宣伝の役割に収まっている。

「パートナー」と銘打っているものの、実質的には「下請け」ではないかと言われている。この出来事は、日本の地上波テレビと世界的なネット配信メディアの力関係が劇的に変わってしまったことを示している。

 2023年のWBCではTBS系とテレビ朝日系で試合中継が行われた。日本が14年ぶりに優勝し、大谷翔平選手がMVPを獲得したこの年の大会では、地上波テレビの存在感は大きかった。だが今回、その歴史的な祭典がNetflixに独占されてしまった。

 もちろん、日本テレビの判断は経営戦略としてはきわめて合理的なものだ。スポーツ中継の放映権料は年々高騰しており、WBCのような国際大会はもはや国内のテレビ局単独では手に負えない水準に達している。

 そこでいったん放映権獲得というリスクの高い勝負からは距離を取り、制作受託という形で確実に収益を確保するのは、むしろ堅実な考えであると言える。長年スポーツ中継で培ってきた人材や技術を生かせる上に、国際配信向けの制作経験を積めるという点でも、日本テレビには十分なメリットがある。

 しかし、WBCという国民的イベントにおいて、視聴者と直接つながる放映権を握っているのはNetflixであり、日本テレビはその外側で映像を作り、盛り上げ役を担う立場に回った。この関係性について視聴者が残念に感じるのは無理もない。

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