寒いと無性に食べたくなる「おでん」に新たな脚光! 大根でも玉子でもない人気の“おでん種”の人気が急上昇の理由

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惜しくも「ベスト3入り」はならず

 スケトウダラなどの魚をすり身にし、塩分を加えて練り込み、焼いたり蒸したりして作る「ちくわ」や「はんぺん」。こうしたいわゆる“練り物”の人気が久々に上向いてきた。物価高の中でも比較的、価格が安定していることや、健康機能などがクローズアップされ、生産・消費のV字回復に期待が高まっている。【川本大吾/時事通信社水産部長】

 一年で最も寒いこの時期、食べたくなるメニューに鍋料理がある。寄せ鍋、水炊き、ちゃんこ鍋、しゃぶしゃぶ、すき焼きもいいが、手軽でおいしい「おでん」も人気だ。最近は、コンビニでサクっと好きな具材をカップに入れて買うことは少なくなったが、数種類の種が袋に入った商品が売られており、チンして食べられるのはありがたい。

 紀文食品が昨年秋に公表した「家庭の鍋料理調査」によると、「家庭の鍋料理の出現率」は、おでんが56.8%でトップ。2位のキムチ鍋に10ポイント以上の差を付けており、まさにおでんは“国民食”だと実感する。

 ただ、水産記者として改めて気付かされるのは、「おでん=魚の練り物」といった印象がある割に、超人気な種は魚介系ではないことだ。同社の調査結果を見ると、「好きなおでん種」の第1位は大根で65.2%、2位は玉子(56.6%)、3位はこんにゃく(46.1%)となっている(複数回答)。

 この後、4位は餅入り巾着が44.6%で続き、ベスト4までは魚の練り物以外が占めている。5位にようやくはんぺん(40.2%)、6位にちくわ(35.9%)がランクイン。ちなみに7位・白滝(34.3%)、8位・厚揚げ(32.4%)、9位・牛すじ(31.1%)と、再び魚の練り物以外が続き、10位にかろうじてさつま揚げ(29.5%)が入った。 

 おでん自体は人気があるとはいえ、食習慣の変化や核家族化、個食の増加などにより、昭和の時代に比べ、全体の消費量については“伸び悩み”というよりは“減少傾向”ではないかと思われる。なかでも魚の練り物は、生産・消費量が激減している。

「V字回復」の兆し

 農林水産省の調査によると、水産練り製品の生産量は、2024年が全国合計でおよそ40万8000トン。30年で半分以下に激減した。生産量の減少は、消費の減少が最大の要因とみられ、練り製品を生産する加工業者の数も大幅に減っているという。

 ただ、昨年からやや風向きが変わってきた。毎月データを公開している一般社団法人「食品需給研究センター」(東京)によると、2025年1~11月の水産練り製品の生産量は、ちくわや揚げかまぼこ、板かまぼこ、はんぺんなどを中心に、合計約36万トンで既に24年の年間生産量を若干上回った。

 24年に発生した能登半島地震の影響で、直後には石川県内での生産が減ったものの、その後は工場も普及し生産は回復。このほか「練り製品の価格が他の食品に比べて比較的安定していることや、健康機能への関心が高まっていることも、生産が上向いてきた要因ではないか」(食品メーカー)とみられている。

 紀文食品の調査では、近年の物価上昇を感じる前とそれ以降で、おでんを作る回数が「変わらない」という回答は6割以上に達している。他の食品同様、少なからず値上がりしている練り物も多いが、比較的上げ幅は小さく、今でもおでんは国民食として根強い人気を誇っている。

 人気の種では大根、玉子、こんにゃくに引けを取っているものの、「おでんによく入れる種」では、ちくわが4年連続でトップ。はんぺんやちくわ、さつま揚げもベスト10入りしており、おでんに魚の練り物は欠かせない存在であることが分かる。

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