ハネムーン終了前の電撃解散「高市総理」を悩ませる「三つのギャップ」とは

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「とりあえず支持」が底上げした支持率

 一つ目のギャップは、内閣への高支持率と、その中身の問題だ。確かに高市政権に対する支持率は高い。だが政権支持率が70%に達していた時期にあっても、自民党支持率はその半分かそれ以下の数字でしかなかった。政治学者の菅原琢氏は高市政権の高支持率を、とりあえず支持と答えているだけの、不支持予備軍が押し上げているものと分析する。(※1)

 つまり積極的な支持ではなく、不支持を保留しているだけで、いつ支持を止めるかわからない不確実なものだ。選挙時にはブーム的に票を集めたとしても、政権基盤を支えるような強い・本質的な支持ではなく、いつ急落・瓦解するかわからないのである。

 高市支持者の中には、「自民党左派・リベラル派が高市総理の足を引っ張る」と考える“自民党嫌い”も存在する。彼らの熱量は大きいかもしれないが、現実の国会などにおける政策実現への影響力は限定的である。そうした中で公明党の支えもなくなった自民党が、選挙前以上に重要政策の実現に邁進できるのだろうか。

「私推し」の賭けに出た高市総理。情勢分析では自民党の議席増との予測が伝わってくるが、高市総理の「私推し」に賭けるしかない自民党の窮状には変わりないだろう。

政策遂行能力は高まるのか

 二つ目は、「働いて、働いて、働く」内閣という高市総理の発言と、実際の政権運営とのギャップである。

 自民を含む各党が「減税」「物価高対策」を1丁目1番地の政策に挙げる中、「ならば解散せずに早急に対策を打ってくれ」「議論はメディアの党首討論会ではなく国会でどうぞ」と思わずにはいられない。

 働く内閣を強調する高市総理は政策通を自負する。そうであるだけに自身や政権への評価は何らかの政策的実績を積むことによって得るべきである、と考えているかに思えた。

 2025年に自民党から参院選挙に出馬した岸博幸氏も『高市早苗研究』(宝島社新書、共著)で、「早期解散はないと思う。勉強家で真面目な高市さんは政策を前に進めて成果を出したい人だろうから、今は選挙より政策だろう」という主旨のことを述べている。

 だがふたを開けてみれば高市総理は実績を上げる前に解散し、国会では審議中の74本の法案が廃案になった。もちろん「より働ける状態」を作り出すための解散だと強調してはいるが、その実、高市総理は実績をコツコツ積み上げて評価を得ることよりも、期待値が高い状態で選挙を行う方が良いと判断したことになる。政策通で実務を重んじるとの評判と、実態との間にギャップが生じていることは否めない。

 解散表明会見では〈選挙期間中も、高市内閣は、各府省庁の職員とともに、働き続けます〉とアピールしたが、自分で解散を決めて忙しくしただけであり、働き続けるのは当然という他ない。

 たとえ自ら定めた勝敗ラインをクリアしたとしても、解散によってより大きくなったこのギャップを埋めるのには、これまで以上の体力、そして政治力が必要になることは想像に難くない。

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