「怪異現象の引き寄せ体質」は実在するか オカルト好きの60歳男性が参加した“百物語”で見たものは【川奈まり子の百物語】
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これまでに6,000件以上の怪異体験談を蒐集し、語り部としても活動する川奈まり子が世にも不思議な一話をルポルタージュ。今回は、「心霊引き寄せ体質」である60歳男性の話を紹介する。
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一般的に、引き寄せ体質と言えば、ポジティブな思考、感情、言葉が自分にとってより良い現実に導くという“引き寄せの法則”を実践できている状態を指す。
しかしながらオカルトや怪談の愛好者の間では、意図せず心霊体験を引き寄せてしまう体質をこう呼ぶことがある。
マニアの場合は積極的に怪奇現象に遭いたがっている向きも少なくないので、あながち誤用とも言い切れない。
今回はそんな“心霊引き寄せ体質”のタケダさん(仮名)の体験談をご紹介したいと思う。
尚、タケダさんは現在60歳の男性だが、彼の怪異体験のほとんどに女性または子どもが登場する。
前もってさらに申し上げるべきことがあるとすれば、どの話も日常と非日常のあわいでゆらゆらと揺れているような、奇妙に静かな味わいを持っている点だ。
お話の中で誰かが無残に命を落としたり、耐えがたい困難に陥ったりはしない。
では、怖くないかといえば、充分に怖いと私は思う。
10年あまり前のことだが、タケダさんは《百物語》に参加した。
百物語
百物語は、一説によれば中世の御伽衆に端を発するとも言われる伝統的な怪談会だ。
新月の闇夜に100本の灯心を備えた行灯もしくは蝋燭と一枚の鏡を用意して、複数人で集まり、順番に怪談を披露するのだ。
そのとき、1話を終えるごとに1つ灯りを消した後に鏡に自分の顔を映す。
これを100回繰り返して、ついに真の暗闇に包まれたときに、その場に怪が出現すると言われている。
なかなか手間が掛かるものなので、身近で催される機会など滅多にない。
しかし、このときはタケダさんの家のごく近所の寺院で開かれることになった。
そして、たまたま宣伝を見かけて興味を惹かれ、参加してみたのである。
ちなみに彼は大阪府にお住まいだ。
当日、開始時刻の午後8時に間に合うように会場となった本堂に行くと、20人ばかりが集まっていた。
老若男女、さまざまな人がいたが、これから朝の5時まで夜っぴて行う予定だったせいか、一様に気合の入った表情をしている。
タケダさんも事前に怪談をいくつも用意して、自分の番を待ちかまえていた。
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