「この10年で、構成作家が半数近く入れ替わり」…元スタッフが語る「ナイトスクープ問題」の深層 「番組への愛情ある局員も現場を去っていった」

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「探偵!ナイトスクープ」(朝日放送テレビ。以下、ABCテレビ)が揺れている。1月23日放送回での内容を巡り、一般人の出演者に批判が殺到。その後、ABCテレビが番組の一部に「演出」があったことを明かし、謝罪に追い込まれたのだ。識者からは「BPO入りもあるレベルの不祥事」「打ち切りもありえる」との批判まで飛んでいる。同番組は、放送開始から38年が経つ関西を代表する人気バラエティだが、一連の騒動の背景には一体、何があったのか。長らく番組に携わってきた元スタッフが、構造的な問題点を明らかにした。

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長男を代わって欲しい

 元スタッフの証言に入る前に、まずは事の経緯を整理してみよう。

「ナイトスクープ」は、「探偵」役の芸人などが、視聴者からの依頼に基づき、謎を調査したり、リクエストに応えたりするバラエティだ。

 同日の放送で取り上げられたのは、両親が共働きの6人きょうだいの長男(小学6年生)からの、「長男を代わって欲しい」という依頼である。この家庭では、エステサロン経営に乗り出した母親と、それを手伝う父親が家を不在にすることが多く、弟妹の世話や炊事、洗濯、掃除などを日常的に任されていたのは長男だった。しかし、当然ながら長男は同級生と同じように遊んだりする自由な時間が欲しい。そこで探偵に、その役割を1日だけ代わってもらいたいという依頼を出した。探偵役を務めたのは「霜降り明星」のせいやである。

「ヤングケアラーだ」

 放送直後からネットには、この番組内容にかかわる投稿が溢れかえった。「長男はヤングケアラーでは」、「ネグレクトだ」、「親の育児放棄」などの意見が飛び交い、両親のSNSには批判や誹謗中傷が殺到するなど“炎上状態”となった。

 これを受けてABCテレビは25日、番組公式サイトで声明を発表。「ヤングケアラーは重要な社会的課題として強く認識しております。一方、家族の事情や日常のあり方は多様であると考えています」とし、「番組制作にあたっては取材趣旨の説明と同意確認を行い、関係者の尊厳・プライバシーに配慮して編集・放送」しており、「今後も取材対象者をはじめ、番組に関わる皆様の安全と尊厳を守ることを第一に番組作りを続けてまいります」と述べた。そして、出演者への誹謗中傷を控えることを要望。見逃し番組サイト「TVer」への配信もストップした。

 この時点では、批判の矛先はもっぱら両親であり、局側には向いていなかった。

事実上の謝罪

 が、潮目が変わったのは、翌26日のこと。

 再び番組の公式サイトが更新され、放送で映し出された内容の一部は、日常の家族の様子とは違う「番組の編集・構成上の演出として表現したもの」であると公表したのである。具体的には、番組の最後の部分、せいやが任務を終えて家を出た後、母が長男に「米炊いて、7合」と伝える場面である。これは「ヤングケアラー」の日常が続くことを視聴者に印象付けたシーンだが、これが「演出」だったという。また、長男からの依頼文も「取材・制作の過程において、依頼原文の主旨をもとに番組側とご家族で内容を確認・相談したうえで、放送用に構成・改稿したもの」として、実際のものとは異なることを明かした。そして、「取材対象者の方々に対して実態とは異なる受け止めが生じている状況について、番組として深く反省しております」と、事実上の謝罪をしたのである。

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