ロマンス詐欺「被害金1億円」をマネロンした僧侶の意外な素顔 「認知症の疑いが」
認知症を発症
先の社会部デスクが引き取る。
「大船渡署が発表した後藤の職業は僧侶でした。ですが厳密には法務員といって、住職の補佐が主な仕事。法要やお参り、檀家さんの家を回るといった役割です。寺では“通い”で働いていたので勤務時間外のことまでは分かっていません。なお、寺で働く前に、すでにバツイチだったようです」
この後藤容疑者について冒頭で証言したのは、彼が働いていた寺の関係者だ。
「正直なところ、暗号資産化する手順なんてまったく理解できていないと思う。最近は認知症を発症していたことも分かっています」
被害者として新聞記事に
ただし、と、寺の関係者が証言を続ける。
「外見からは見分けがつきませんし、職場で指示された仕事はできていました。一方で、自身のSNSやそのDMに届く詐欺メッセージを疑うことはできない。ふた桁以上の詐欺業者に、運転免許証やマイナンバーカード、パスポートのコピーまで送っていたのです」
結果、総額1000万円ほどの被害に遭ったのだ。
「始まりは20年ごろでした。彼がだまされたのは、ロマンス詐欺をはじめ“登録料が滞納されている”といった架空請求や投資の詐欺。21年に唯一の肉親で心の支えだった母親を亡くすとエスカレートし、月給約20万円のほとんどをつぎ込んでいました」
その詐欺被害は一度、地元紙で記事になっている。
「23年でした。彼の名前は出ていませんが、SNSで知り合った米国軍人を名乗る女から“基地に持ち込んだ荷物が没収され、取り戻すためにお金が必要”などと日本語でメッセージを受け取った。挙げ句、複数回にわたって680万円を振り込んだという話です」
記事の“事件”以降も、
「詐欺被害に遭い続けていました。でも、誰も把握していなかった」
と、寺の関係者とは別の知人が明かす。
「後藤さんは、昨年1月に心筋梗塞で、3月には脳梗塞で入院しています。3月の入院時、看護師が詐欺の関連書類を見つけて記事以外の被害も露見しました。業者とのやりとりで“国際通貨基金”や“みずほ国際銀行”などの名称が出ても、おかしいと気付かなかった」
毎日1リットルの甘いコーヒーとドーナツ
さらには、五つの銀行から300万円借りていたことや、住民税、固定資産税などの未納状態も判明した。
知人によれば、脳梗塞のあと、後藤容疑者は寺の住職と一緒に釧路署に赴き詐欺被害の相談をしている。
「このとき釧路署は、病院関係者の情報として“認知症とみている”と告げていました。その上で、医療機関で診断名をもらって後見人をつけ、金銭管理をすべきだとも助言していた。今回の逮捕がなければ、1月末に債務関係の整理を、2月は診断名を得るための検査を行うはずでした」(前出の知人)
手配を進めていた昨年12月、後藤容疑者はネフローゼで病院に担ぎ込まれた。
「後藤さんはもともと糖尿病を患っていて、にもかかわらず毎日1リットルのパック入りの甘いコーヒーを飲み、ドーナツを常食していました。近頃はコンビニの大盛ナポリタンを食べた後、それを忘れたように菓子パンを立て続けに口にする姿も目撃しました」(同)
こうした状況は、大船渡署にも共有されていたはず。むろん、刑法に触れる罪を犯したのは事実だろう。だが後藤容疑者は、巨額のマネロンに手を出した動機を語れるのだろうか。
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