ボストンバッグに分厚い札束が…50年前の菊花賞で「馬券5000万円分を現金購入」した謎の男 競馬関係者が「素人」と推理した根拠とは

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5000万円分の馬券は紙屑に

「で、おっしゃる通りの発券をすることになったんですが、発券機の能力からいって相当の時間がかかる。そこで2時間半ばかりは待っていただいた。その間、お客さんは食事に行ったり、散歩に行ったり……。でも、とうとうシビレを切らしたのか、“ほかに用事があるので、もう帰る。できた券は預かっておいてください。当たったら、取りに来ますよ”と……」

 男が住所と氏名を口にしなかったため、預かり証は買った馬券を記したメモに課長の印を押したものになった。男はカラになったボストンバッグを持って立ち去った。

 翌日のレースは大番狂わせだった。男は本命と見られていた3ワクのトウショウボーイを中心に買っていたのだが、結果は5ワクのグリーングラスが優勝し、トウショウボーイは3着。連勝複式は5-6ということになった。

 5000万円分の馬券は、すべて外れ、ただの紙屑に変わった。男が“引き取り”に来ないのも当然かもしれないが、競馬場としては捨てがたく、男の現われるのを待っていた。けれど、年が明けても音さたがないため、近日中に廃棄するつもりだという。

競馬関係者は「素人の買い方」と

 5000万円を1レースに賭けるというのは、中央競馬会でも「空前のこと」という。さらに、買い方も常識外れであるらしい。「素人ではないか」――と、京都競馬場の投票課長、寿山操さんはいう。

「伝えられているあの買い方、いささか理解に苦しみますね。競馬というのは、ちょっとした天候の変化による馬場のぐあい、その日の馬の状態で、結果がまるきり違ってしまう可能性のあるものでしてね。それだけに、大金を投じるとなると、当日買いが常識なんです。ところが、小倉のは前日買いで、しかも予想配当さえ算出されていない午前中のことだというんでしょう。まず、玄人の買い方ではないことが歴然としています」

 千葉県の中山競馬場の投票課長、中村恒雄さんも同様の見方。

「大金を投ずるのは、本命が断然堅く、配当もわずかだが確実だという“銀行レース”の場合が常識的でしてね。菊花賞のようなクラシックレースの場合、一流馬が勢ぞろいするだけ波瀾が起きやすく、相当、散らばして買わなきゃなりません」

 阪神競馬場では、5年ほど前に1000万円を元手に何点張りかして、3000万円稼いだ人がいた。同競馬場の投票課長、北鳴三郎さんはいう。

「ただ、そういう大金を投ずる人は、たいてい一般のお客さんなんです。馬主さんなんかは、意外と賭けません。自分の持馬の初出走などのとき、いわゆる“ご祝儀馬券”として買う場合も、せいぜい数十万円ですよ。かといって、会社員は大金を賭けられませんしねえ。一般のお客さんといっても、自由業の方や中小企業の経営者が多いようですよ」

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「成金があやしい」「病院の先生が……」――第2回【「成金があやしい」「病院の先生が」…50年前の菊花賞で「馬券5000万円分を現金購入」した謎の男、夜の街に流れたウワサの数々】では、夜の街の“名探偵”たちによる大胆な推理をお伝えする。

デイリー新潮編集部

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