特に「月曜日の朝」が危険… 冬に悪化する糖尿病の対策方法 「ちょっと血糖値が高い」は「すでに糖尿病が始まっている」と捉えるべき

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 糖尿病は心筋梗塞や脳梗塞、腎不全を引き起こす原因となるが、今や6人に1人が患者かその予備軍と推定される。冬場に症状が悪化することは統計上顕著であり、特に休み明けの月曜の朝が危ないという。誰もがかかる可能性のある糖尿病対策を専門医が解説する。【坂本昌也/国際医療福祉大学医学部教授】

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 糖尿病は一般に自覚症状がありませんし、5年から15年をかけて発症し進行する病気です。そして、心筋梗塞や脳梗塞、腎不全などを引き起こす原因となります。さらには認知症になりやすいという研究結果もあり、糖尿病は万病のもととなる病気ともいえるのです。

 特に冬は、血糖値が上がりやすい季節なので、ほかの季節以上に意識して対策に取り組む必要があります。

 糖尿病の三大リスクは、血糖値、血圧、脂質(悪玉コレステロール)です。これまでの研究で、ヘモグロビンA1c、血圧、LDL(悪玉)コレステロールの三つの数値は、夏にピークを迎え、秋から冬にかけて低下し、春にまた好転する傾向にあることがわれわれの研究でも分かっています。

 冬に三大リスクが悪化する要因にはさまざまありますが、血糖値の場合、寒さによって交感神経が刺激されると、血糖値を上げるホルモンが分泌されやすくなります。寒い冬には鳥肌が立つなど血管が収縮して血圧が高くなるのはご存じかと思います。脂質では、交感神経が優位になることでホルモンバランスが変動し、悪玉コレステロールや中性脂肪が上昇しやすくなります。 

 年末年始は、忘年会や新年会などでとかく食習慣が乱れ、また運動不足で体重が増えたりします。体重と悪玉コレステロールはリンクしています。高血糖値と高血圧、体重の増加が重なることによって、心筋梗塞や脳梗塞が増えるのです。

 特に、冬場の月曜日の朝が危ないです。心筋梗塞では、土日ゆっくり休んでいて、月曜日に出勤するといきなりストレスがかかって血管が詰まったり破裂したりします。人の体というのは、日中は交感神経が活動することで血圧が比較的高くなり、夜間は副交感神経で体が休まる形になっています。しかし、糖尿病で高血圧も持っている方は、日中も血圧が高くて夜間も下がらない。すると、夜間ずっと高いままの状態が続き、朝にストレスがかかると、もうバーンと破裂してしまうようなことが起こるのです。

 あとは塩分の取り過ぎや、冷えによって夜間頻尿が起こり睡眠不足になることも、血圧や血糖値が下がらない原因になります。そのため、就寝前に深部体温をしっかり高めるのが重要になり、血糖値を整えるためにも夕食後、十分に湯船に漬かることをお勧めします。

日本人の睡眠時間はどんどん短くなっている

 これまでは、寒さで冬場は運動が減っても、夏場は比較的運動していた方も多かったかと思います。時間軸でいうと日中と夜間で血圧が違うように、季節で見ると夏と冬で数値は異なり、夏は下がって冬に上がるという傾向がありました。ところが最近では、猛暑やゲリラ豪雨で外に出られなくなり、夏でも運動ができなくなってきました。

 すると、夏から冬にかけてもずっと血糖値と血圧が下がらない状態が続きます。近年では、こうした気候変動のリスクも顕著になってきています。夏も借金、冬も借金という具合で、専門医の間では冬がより厳しい状況になってきたというように捉えています。

 もう一つ気になるデータが、日本人はきちんと睡眠時間を取れておらず、しかもどんどん短くなっていることです。寝る前に携帯でSNSを見ている人が多く、24時間情報が見られるようになったので、そういうオンとオフの区別がつかなくなってきているというのが背景にあるのではないかと思います。

 それでは睡眠時間はどれくらいが適正かといえば、6時間から8時間というのが目安になります。6時間未満になると体は十分休めず、血糖値や血圧が上がりやすくなりますし、逆に8時間を大きく超えると心血管疾患や代謝異常のリスクが高まるという報告があります。

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