別れ際に「リスカ写真」を送り付けてきた元カノと同窓会で再会 変わらぬ美貌、20年ぶりの会話は盛り上がるも…【川奈まり子の百物語】

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【前後編の前編/後編を読む】「パパ、おばさんがまた来てるよ」…霊感体質の娘だけに見えてしまう“おばさん”の正体とは

 これまでに6,000件以上の怪異体験談を蒐集し、語り部としても活動する川奈まり子が世にも不思議な一話をルポルタージュ。今回は、若くして妻を亡くしたシングルファーザーの身に起きた出来事を紹介する。

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 神奈川県横浜市というと、港や中華街、あるいは外人墓地といった観光スポットを想い起す人が多いかもしれない。

 だが、実は東京圏の一翼として新旧の広大なベッドタウンを有するエリアだ。

 今回の体験者である浩一さん(仮名)が暮らす家も、横浜の住宅地にあった。

 現在40歳の彼が子どもの頃、父親がここに家を建てた。それを去年、浩一さんは貯金をはたいて全面リノベーションしたのであった。

 外壁は白く塗り替えられ、キッチンは最新の設備に変わり、地下には彼の書斎を兼ねたオーディオルームを新設した。大画面のモニターと高性能スピーカーが並び、夜な夜な映画や音楽に没頭できる秘密基地を持つことは、彼の長年の夢だった。

 両親は1階で静かに暮らし、浩一さんは2階の寝室で娘のあやめと一緒に寝起きしている。

 あやめはもうすぐ8歳の誕生日を迎える。妻の死後、浩一さんはシングルファーザーとして彼女を育ててきた。

不思議な言葉

 亡き妻の名前は美紀。会社の同期で、共に30歳のときに結婚した。浩一さんが32歳のとき、美紀の妊娠がわかった。喜びも束の間、彼女は妊娠高血圧症候群を発症し、お産から3日後に脳出血を起こして急逝してしまった。
 
 亡くなる前に、我が子を腕に抱けたのが唯一、不幸中の幸いだったと言えるだろうか……。

 出産後の容体が安定しなかったため、浩一さんは立ち合い出産の後も帰宅せず、個室で寝ている美紀のそばにつきっきりでいたのだが、臨終までの間に彼女はたびたび不可思議な言葉を彼に投げかけた。

「あやめちゃんは正直な子だから、あの子が言うことを信じてあげてね」と、まだ生まれたばかりの娘について彼に注意を促したかと思えば、「寝室のクローゼットの奥に小さな金庫があって、鍵と暗証番号を書いた紙が私の机の引き出しの奥に隠してあるの」と、彼が訊きもしない秘密を自ら打ち明けたのだ。

 彼女の死後、金庫を開けてみたところ、彼が贈ったダイヤの婚約指輪と宝飾品が、一筆箋にしたためた「娘に譲ります」という一言と共にしまわれていた。

 自分の死を予見していたとしか思えず、そういえば……と、浩一さんは後悔と反省と共に、在りし日の美紀がよく幽霊を視ただの声を聞いただのと彼に話していたこと、そして、その都度、彼が一笑に付していたことを想い起した。

 美紀は霊感が強い女性だったのだ。

 彼女が死んだ今になって、彼にもようやく信じられた。

 霊の存在を。そして、霊感がある者の宿命を。

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