【ばけばけ】“婿殿”小泉八雲の高収入で極貧から脱出…裕福に暮らしたセツの家族
いよいよはじまるトキとヘブンの家族生活
いよいよ松野トキ(髙石あかり)とレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)の新婚生活がはじまった。NHK連続テレビ小説「ばけばけ」の第15週「マツノケ、ヤリカタ。」(1月12日~16日放送)。「新郎新婦」は松江城にほど近い武家屋敷に引っ越して、義父の松野司之介(岡部たかし)と義母のフミ(池脇千鶴)も同居することになった。
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ところが、新聞記者の梶谷吾郎(岩崎う大)の取材にヘブンが、「正座は苦ではない」「魚の小骨をとるのも得意だ」などと答えると、翌朝には記事になり、引っ越し祝いに訪れる人が殺到することに。しかも、島根県知事の江藤安宗(佐野史郎)が「ヘブンは立派な日本人だ」と太鼓判を押したものだから、評判が評判を呼んで訪問客はさらに増えていった。
そんななか、ヘブンが帰るべき時間に帰らなくなった。帰りが遅い理由をヘブンは、「錦織友一(吉沢亮)と教育について熱く話し合っている」と答えたが、それはウソで、実際には山橋薬舗で西洋料理を食べていた。訪問客が殺到し、しかも日本人らしさを期待されることに、疲れてしまっていたのだ。
山橋薬舗の奥に隠れていたヘブンをトキが見つけ、ヘブンはウソをついて家に帰らなかった理由を白状し、夫婦間では問題解決にいたった。だが、トキの幼馴染みのサワ(円井わん)は、夫妻の新居を訪ねて、自分の暮らしとの落差にショックを受けた。第16週「カワ、ノ、ムコウ。」(1月19日~23日放送)では、トキとサワのあいだに生じた溝がクローズアップされるようだ。
だが、実際、それまで実家が極貧状態を余儀なくされていたトキにとって、ヘブンとの結婚は「玉の輿」。「庶民」とのあいだに溝が生じるのも無理はない。
月給が350万~400万円
トキのモデルである小泉セツにとっても、ヘブンのモデルであるラフカディオ・ハーン(のちの小泉八雲)との結婚は、経済的には玉の輿だった。
セツの養家の稲垣家は、彼女が小学校に通うころに詐欺に引っかかって没落し、以来、城下町の西南の外れで貧しい生活を余儀なくされてきた。実家の小泉家の零落も激しく、実母の小泉チエは、それをモデルにした「ばけばけ」のタエ(北川景子)同様、一度は物乞いにまで身をやつした。そんな状況にあったセツの家族や親族にとって、セツの夫となったハーンの収入は、富豪のそれに感じられただろう。
ハーンが島根県尋常中学校と島根師範学校の英語教師を務めることで受けとっていた月給は100円だった。これをいまの貨幣価値に置き換えるのは簡単ではないが、物価水準などから換算すると、350万円から400万円ほど、ひょっとしたら、それ以上に相当するかもしれない。セツの家族にとって、夢のような金額だったことはまちがいない。
セツの場合は「ばけばけ」のトキと違って、最初からハーンのもとに住み込みで女中を務め、間もなく事実上の夫婦になったので、「ここからが新婚生活だ」と区切っていうのが難しい。だが、明治24年(1891)6月22日、松江城の内堀に面した北堀町の、現在「小泉八雲旧居」として公開されている旧武家屋敷に引っ越してからが、事実上の新婚生活といえるだろう。
ハーンの没後、セツはハーンが信頼していた友人の三成重敬に、夫との生活を回想して語り、それを三成が編集し直し、セツの『思ひ出の記』としてまとめた。そこにはこう書かれている。
「私と一緒になりましたので、ここ(註・宍道湖に面した借家)では不便が多いというので、二十四年の夏の初めに、北堀と申すところの士族屋敷に移りまして一家を持ちました。/私共と女中と子猫とで引っ越しました」
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