手本にすべきは「イトーキ」の社長メッセージ? 「統合報告書」が“きれいすぎる”企業に投資家が要注意な理由
発行する上場企業が1150社に達し、ビジネス業界では“常識”となりつつある統合報告書。企業の財務情報を反映する有価証券報告書が“履歴書”ならば、非財務情報を含む企業のストーリーを反映する統合報告書は“エントリーシート”に例えられるという。しかし、人間と同じように企業の“人となり”も千差万別だ。どう読めば投資や就活、我々の日常に役立てることができるのか。実際の統合報告書の“読みどころ”を専門家たちが指南する。
※本稿は「週刊新潮」2026年1月22日号の特集記事【投資家必読 「伊藤忠」「イトーキ」「デンソー」「TBS」 企業の将来性が分かる「統合報告書」の読み方】の一部を再編集したものです。
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ここ数年、作成する企業が右肩上がりで増え続け、2024年には1150社もの上場企業が発行した「統合報告書」。そこに記されているのは、「将来的に自社の企業価値をどのように増大させてゆくのか」、つまり、その企業の「未来」の姿である。
「あすかコーポレイトアドバイザリー株式会社」取締役ファウンディングパートナーの光定洋介氏が語る。
「統合報告書は1社あたり100ページくらいで、かなりの分量になります。真面目に読み通すと相当時間がかかってしまうので、読むところはおのずと限定されます。投資家の目線から、最初に読むのはCEOのメッセージになります。その後、経営戦略のページなどで、中長期的な成長戦略がしっかりとESG(環境・社会・ガバナンス)の各要素と結合して書かれているか、資本コストを上回る事業戦略が立案されているかに着目し、その企業の持続可能性について判断します」
そこでCEOのメッセージなどが、
「事務方が作文したような内容だと分かると、その会社の統合報告書にかける思いが感じられず、一気に読む気がなくなってしまいます。また、投資先として大丈夫かな、と心配にもなりますね。一方、CEOが時間をかけて自分の言葉で書いたような文章だと、経営陣もしっかり作成に携わった統合報告書だと感じられ、信頼感が持てます」(同)
統合報告書の発行が一種のブームになっているのを受け、各企業の“事務方”どころか、コンサルティング企業などの外部業者に作成を委託するケースが相次いでいるという。
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