自称“愛妻家”なのに…50歳夫はなぜ不倫の沼に落ちたのか 「反省はある。でも妻を愛しているからこそ」の言い分

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「友だち」としてそれぞれの道へ

 だがその後、美枝子さんは短期留学をしたり、海外ボランティアをしたりと急に忙しそうに動き始めた。若い今だから、したいことをしなくちゃ、人生そんなに長くないと言うのが彼女の口癖となった。

「そのころ彼女が慕っていた祖母が亡くなったとあとから聞きました。彼女、そういえば学生時代は自分のことを話しているようで話していなかった。僕は華やかに活動している彼女を、指をくわえて見上げている。そんな感じでしたね」

 彼には夢中になれることがなかった。それが焦燥感にもつながったのだが、その日その日が楽しければいいやという思いもあったという。

「周りが就活で動き出しても僕は動けなかった。なんだったんでしょうね、あの日々。人生が虚しくてたまらなかった。『オレはなぜ生きているのか』『なんのために生きているのか』と悶々としたものを抱え込んでしまって……。若さゆえだったんでしょうかね。就職する気がないから大学院へ行こうかなと考えるようになりました。なぜか勉強は嫌いじゃなかった。研究も楽しそうだなと思ったんです」

 美枝子さんは学生時代の海外での活動をひっさげて就活を勝ち抜いた。そして隼澄さんは無事、大学院に進学した。

「美枝子は『隼澄は研究者に向いてるよ』と言ってくれた。これからも友だちでいようねとも。ああ、やっぱり友だちの域を超えることはできないのかと思う半面、友だちでいればずっとつきあっていけるとも思った。何かあったら助け合おうとも約束しました」

意外にも美枝子さんに悩みが

 それぞれの道でがんばっていこうと約束したのだが、人生はわからない。挫折したとSOSを出したのは美枝子さんだった。仲間も含めてときどき会ってはいたのだが、就職して1年たったころから美枝子さんの様子がおかしくなった。集まりにも出てこない。連絡をしても返事がなかなか返ってこない。隼澄さんが心配していたところへ電話があったのだ。

「美枝子は人間関係で悩んでいました。彼女にそんなことがあるなんてとびっくりしました。彼女自身は決して目立とうとしているわけではないのに、どこにいても結局は頼られるし、中心になるようなタイプだったから。でもそれがある先輩にはうっとうしかったんでしょう。あることないこと言われて仕事からはずされるようになって。それを別の先輩がかばってくれたんだけど、さらに周りも巻き込んで人間関係が悪化していったようです」

 仕事で見返してやると密かに意気込んでいた美枝子さんだが、肝心の仕事がきちんと与えられない。彼女は上司に訴えたが、それがわかるとまた先輩に嫌味を言われる。あの会社はおかしい、くだらないことで仕事を停滞させていると彼女は激しい憤りを爆発させた。

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