自称“愛妻家”なのに…50歳夫はなぜ不倫の沼に落ちたのか 「反省はある。でも妻を愛しているからこそ」の言い分

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【前後編の前編/後編を読む】妻に訪れた“試練”に50歳夫は取り乱し…行きずりの女性となぜかホテルへ 「混乱していた」ではすまない繰り返された過ち

「愛妻家」という男性は稀にいるが、タイプはいろいろある。パートナーとしてお互い対等であると認識している人もいれば、妻を少なからず子ども扱いしている人、あるいは母のように慕って依存していると思われる人もいる。「妻が大好き」「妻を愛している」のは変わりないのだろうが、その愛の中身は多様だ。

 愛妻家はいるのに、愛夫家という言葉がないのは不思議である。夫が妻を愛するのが珍しいからだろうか、あるいは夫を愛する妻などいないということなのだろうかと考えてみたくもなる。もしくは妻が夫を愛するのは当然だからか。考え出すときりがない。

「僕は自他ともに認める愛妻家でしたよ、いや、愛妻家ですよ」

 そう言うのは岡村隼澄さん(50歳・仮名=以下同)だ。一瞬、過去形になったのは彼の行動によって、妻との関係がギクシャクしているからだ。

「自分でも、わけがわからない行動を繰り返していたのはわかっています。反省はあります。でもそれは僕が妻を愛しているからだった。こういうとき人は、不徳のいたすところというんでしょうね。僕の中の別の僕が起こした行動としか思えない。これが逃げ口上だということもわかっているんですが……」

 確かに人は混乱すると、わけがわからないことをしでかす可能性はある。ただ、それもまたその人なのだ。「僕の中の別の僕」はいない。

入学式でひと目惚れ

 隼澄さんが妻の美枝子さんと結婚したのは27歳のとき。出会いは大学の入学式だ。たまたま隣に座って目が合った瞬間、隼澄さんは恋に落ちたという。

「雷に打たれたような感じでしたね。この人に出会うために僕は生きてきたんだと思った。その日から僕はずっと美枝子が好きなんです」

 ところが美枝子さんのほうはそうでもなかったらしい。学部も同じだったので、たびたび顔を合わせていたし、友人としては仲がよかったのだが、「つきあってほしい」という隼澄さんの願いに首を縦に振ることはなかった。

「せっかく大学に入って、これから自由を満喫したいのに誰かに縛られたくない。美枝子はそう言っていました。僕は束縛しないと言いましたが、『誰ともつきあいたくない』の一点張りでしたね。ただ、学生生活が進むとだんだん仲のいいグループができてきた。僕らは7、8人でつるんでいましたが、美枝子もその中のひとりでした」

永遠のアイドル…ほかに恋人は作ったけれど

 グループ内にはモテるだろうなと思われる男子学生もいた。いつか美枝子さんと彼がつきあうのではないかと不安に思ったこともある。それでも美枝子さんはグループにべったりするわけでもなく、どちらかといえばひとりで行動していることが多かった。

「僕は自宅から大学に通っていたんですが、美枝子は地方出身で都内の女子寮に入っていました。いい家のお嬢さんかと思っていたら、2年目には寮を出て自活しだした。『親との関係ってうっとうしい』とつぶやいていたこともありました。彼女が自由でいたい、束縛されたくないというのは親とうまくいっていなかったからなのかなと思いましたね、当時」

 それでも友だち関係は続いていた。美枝子さんと話せて、ときには一緒にお茶したり自分たちの大学の野球やラグビーなどをみんなで観戦する。そんな時間があればいいと思うようになっていった。

「美枝子は僕の永遠のアイドルみたいな位置づけに変わっていきました。その裏で僕はこっそりバイト先の他大学の女の子とつきあい始めた。美枝子には知られたくなかったんですが、偶然、美枝子とその彼女には共通の友だちがいたようで、『隼澄、あの子とつきあってるんだって』と笑いながら言われたことがありました。美枝子がつきあってくれないからだよと言ったら『そんなこと言ったらあの子に失礼でしょ』と本気で怒られました」

 その子とはその後、自然消滅してしまった。やはり美枝子じゃないとダメなんだと、彼は美枝子さんに迫った。就職したら考えようと美枝子さんは言った。

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