実は日本が「最大の被害者」… 異常気象で日本はどう変わる? 「桜が咲かない地域が出てくる」「国力が損なわれる」
“Wの吹きだまり”
これまでは、くねくね度合いが緩やかな蛇(偏西風)が日本列島付近を西から東に横切っていました。従って、列島、あるいは列島の一部が蛇の下(南)になることもあれば、上(北)になることもあった。
ところが温暖化の影響によって、近年の夏は蛇のくねくね度合いが激しくなり、列島を蛇が横切るのではなく、上(北)に出っ張った蛇の下(南)に列島全体がすっぽりと収まるようになった。北へ蛇行した偏西風の南側は太平洋高気圧がとどまるため暑くなる。ゆえに、日本列島の夏は「ずっと暑い」状態が続いてしまうのです。
酷暑の要因は「海」にもあります。温暖化によって、地球全体の海面水温は上昇していますが、海水は世界で“公平”に熱くなってくれているわけではありません。日本の海が“狙い撃ち”に遭っている状況なのです。
世界で最も海面水温が高いのは日本の真南に位置するパプアニューギニアの北で、フィリピンやインドネシア付近に位置する海域です。これは、東から西に吹く貿易風によって、太平洋の東の端にあるペルー以西の温かい海水がその一帯にためられるからです。
そして“世界一ホット”な海水が、“世界一、二を争う速い海流”である黒潮によって日本の海に運ばれてきます。ゆっくりと北上してくれれば冷めるものの、なにしろ黒潮の流れは速いので温かいまま日本に到達する。実際、2023年以降の世界全体の海面水温の上昇は0.6度程度ですが、日本の海は時と場所によっては平年より10度も高くなるケースまであります。このように、日本列島は海から、世界の中でも特異的に温められているのです。
さらに、海だけではなく「陸」からも、日本列島は激しい“暑さ攻撃”にさらされています。
世界で一番広い大陸はユーラシア大陸です。温暖化によって、当然のことながら海だけではなく陸も温められているわけですが、広大なユーラシア大陸で熱くなった大気が、偏西風によって大陸の東端に位置する日本列島に運ばれてくるのです。
いわば日本列島は、温暖化の影響を受けた「熱い海水」と「熱い大気」の“Wの吹きだまり”のようになっている。これが日本の地理的な宿命であり、耐え難い夏の暑さと二季化の要因なのです。
冬がなくなるのはメリットではない?
なるほど、日本が温暖化の「最大の被害者」であるメカニズムは分かった。しかし逆に考えれば、“吹きだまり”である日本からは、寒くて辛い冬がなくなるメリットもあるのではないか。そう考える人がいるかもしれません。でも残念ながら、そうはなりません。
もちろん、地球全体が温暖化しているわけですから、冬の平均気温も多少は上昇していくでしょう。その意味では、冬の辛さはしのぎやすくなるといえます。
そうはいっても、零下数十度の大気が、プラスに転じるほどのものではなく、寒波は寒波で存在し続けます。そして、日本の地理的条件を思い出してください。日本の西には、広大なユーラシア大陸が存在します。夜に沸かした湯船のお湯が、次の日の朝になっても冷めきっていなかったという経験を味わったことがある人もいると思いますが、液体(海水)が熱しにくく冷めにくいのに比べ、固体(陸)は熱しやすく冷めやすい。つまり、シベリアなどで冷やされた大気が日本列島にやって来るため、時に寒波に襲われるという冬の光景は変わらずに残るのです。
さらにその寒波は、温められた日本の海から蒸発する大量の水蒸気を吸収して日本列島にやって来る。したがって、いざ雪が降るとなるとドカ雪になるのです。事実、25年の2月には北海道帯広市で12時間の降雪量が120センチを記録し、全国で初めて半日の降雪量が1メートルを超える事態となりました。その他の地域でも、温暖化にもかかわらず、1カ月間の積雪量が観測史上最高を記録するところが見られ、ドカ雪は確実に増えています。
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