高田漣、“年の離れたレジェンドたち”に教わったギターと耳 父・渡の縁が音楽の道を開いた

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 ミュージシャンの高田漣(52)は、父にフォークシンガーの高田渡をもつ家庭で育ち、幼少時から周りに楽器がある環境で過ごしてきた。成長後はデビュー前からマルチな才能を発揮し、2025年には初めてとなる小説も上梓。音楽にとどまらず遺憾なく”高田漣ワールド”を打ち出している。

(全2回の第1回)

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1歳頃にレコード“デビュー”、就学前に「ライブごっこ」

 高田が生まれたのは1973年。当時、父の渡はキングレコードのベルウッドレーベルからアルバム「石」を発表し、そこからのカットシングルとして「当世平和節」をリリースした頃だった。

「僕が3~4歳の頃ですが、当時父は弦楽器主体のバンド(高田渡&ヒルトップ・ストリングス・バンド)をやっていたんですね。メンバーのかたがバイオリンやテナーバンジョーを持って写真に収まる中、僕がバンドメンバーを装った風でおもちゃのウクレレを持って一緒に写っているんです。これは写真があるから記憶に残っているんですが、実は小学校に上がる前から、近所の子を集めてライブの真似事をしていたんです」

 年下の子を集めて、ギターのおもちゃやウクレレを渡した。自身は父と同じ弦楽器ではなく、ドラムスティックを握ってドラマーに。台所をステージに、ふすまを開けた居間を客席に見立てた。母親やほかの近所の子が“観客”だったという。もちろん演奏は真似事なのだが、こんなエピソードはいかにも“業界”の子らしい。

「即興での演奏が終わると、隣の部屋に移動して、“打ち上げごっこ”もあったんですよ(笑)。うちは音楽家や役者さんなど芸術関係の人が来ることが多かったので、普通の家庭や父親、母親像を知らなかったからでしょうね。小学校に入ってから『あれ? うちが特殊なのかな』ということがやっと分かりました」

 実は1歳になるかならないかの頃にレコーディングも経験している。加川良のアルバム「アウト・オブ・マインド」に収録された「子守唄をうたえない親父達のために」の曲中、泣いたり叫んだりしている赤ちゃんの声は高田のものだという。もちろん本人の記憶にはないが、当時スタジオにいた際の写真は残っているという。

気が付けば同級生と音楽の話が合わない……

 その後も父のバンドのライブを見に行ったり、自宅にある楽器を嗜んだりはしていたが、サッカーに夢中になったこともあり、音楽に熱を上げていたというわけでもなかった。ギターなどを本格的に弾いてみたい欲求に駆られたのは中学に入ってから。特に「ベストヒットUSA」(テレビ朝日系)に影響され、洋楽を聴くようになってからだ。

「家に使っていないギターがあったので弾き始めたんです。当時は普通にヴァン・ヘイレンとかを弾きたいなと。しばらくすると『渡の息子がギターを弾いてるらしいぞ』と聞きつけた父の仲間たちがうちに遊びに来て。世代的に父の仲間内では、僕が最初の子どもに近かったんですよね。今考えれば大先輩のレジェンドばかりですけど、その人たちが自分の技を伝授してくれるようになったんです。中学生としては音楽的には渋い感じだったと思うんですけど、ゼロの状態からだったのでそれが染みてきてどんどん覚えていく。気が付いたら自分がやりたい音楽とは違うスキルが一気に入ってきてしまったんです。とはいえ、もともとザ・ローリング・ストーンズがすごく好きで、ブルースやフォーク、カントリーといったアメリカンルーツの音楽が好きでした。父の友人にもブルース寄りのギター弾きが多かったですし、(父親らの音楽を聴いてきた)幼少期の記憶とどこかでリンクしていたのかもしれません」

 父の仲間たちの教え方も、もちろん教則本のようなものではなかった。音楽が分かる者同士として、それぞれの技術を伝えてくれた。

「多くのかたは感覚的に音楽を捉えておられたので、教えてくれる時も『だいたいこんな感じやで』という教え方でしたね(苦笑)。当然音楽の趣味にも影響して、中学卒業より前から『ザ・バンド』などを聴き始めていました。ヴァン・ヘイレンの頃からするとずいぶん遠くに来た感じで、もう同級生とは好きな音楽の話は全然合わなくなっていましたね(苦笑)。その正月にはお年玉で初めてアルバム『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』を買ったのですが、父の仲間の大塚まさじさん(ザ・ディランⅡ)に会った際に、このアルバムを買った話をしたら、『あれ、エエよな!』と話が盛り上がって。父の友人と自分のように年が離れていても、音楽は同じものをいいって言えるんだなということにすごくビックリして、でも面白いなあと思いましたね」

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