【ばけばけ】電話NG、英語も学ばせない… 偏屈「小泉八雲」を妻のセツはどうあつかったか
いよいよはじまるトキとヘブンの家族生活
松野トキ(髙石あかり)とレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)が結ばれた。NHK連続テレビ小説『ばけばけ』。昨年末の第13週「サンポ、シマショウカ。」(12月22日~26日放送)で、ようやく愛を確かめ合うにいたった2人は、第14週「カゾク、ナル、イイデスカ?」(1月5日~9日放送)で、さらに一歩進んだ。
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当初は結婚について、家族に報告するのを躊躇したトキだったが、養父の司之介(岡部たかし)、養母のフミ(池脇千鶴)、養祖父の勘右衛門(小日向文世)に無事に伝え、実母の雨清水タエ(北川景子)と実弟の三之丞(板垣李光人)にも知らされた。だが、ヘブンは、トキがなにか隠しごとをしていることに納得がいかない。家族の顔合わせの日にも、突然「カゾク、ナル、デキナイ」といい出した。
だが、トキが、家族の借金などについて黙っていたのは、ヘブンと一緒になるのが金銭目的だと思われたくなかったからだと打ち明け、養母のフミも、実母と養父母の関係などについて説明し、ヘブンを含む全員がわかり合うことになった。なかなか心に響く名場面だったように思う。
こうして、第15週「マツノケ、ヤリカタ。」(1月12日~16日放送)では、広い武家屋敷に転居し、「家族」の生活がはじまることになるが、ヘブンのモデルのラフカディオ・ハーン(のちの小泉八雲)は、『ばけばけ』のヘブンに負けず劣らず偏屈な変人だったので、トキのモデルの小泉セツは、かなりの苦労を(それは幸福の裏返しでもあったにせよ)重ねることになる。
「感情の鋭敏な事は驚く程」
ただ、『ばけばけ』のトキとヘブンの話は、セツとハーンの史実にぴたりと重ねられているわけではないので、セツとハーンが「夫婦」になるまでの流れを、最初に簡単に説明しておきたい。
『ばけばけ』のトキは、明治23年(1890)の秋にハーンの女中になり、毎朝、養家から通ったが、実在のセツがハーンの女中になったのは、明治24年の2月上旬ごろで、最初から住み込みだった。つまり、妾を兼ねた女中として住み込みで働きはじめ、間もなく女中を超える関係になったと思われる。
そしてハーンが、宍道湖に面した借家から、広めの士族屋敷への転居を希望したため、明治24年(1891)6月22日、松江城の内堀沿いの北堀町にある、現在の「小泉八雲旧居」に引っ越した。第15週からは、そこでの暮らしがモデルになる。
ハーンの没後にセツの口述が筆記された『思ひ出の記』には、ハーンについてこう記されている。「少し変でございますが、ヘルン(註・ハーンのこと)はごく正直ものでした。微塵も悪い心のない人でした。女よりも優しい親切なところがありました。ただ幼少の時から世の悪者共にいじめられて泣いて参りましたから、一国者(註・頑固者のこと)で感情の鋭敏な事は驚く程でした」。
こうして「驚く程」「鋭敏」だったからこそ、日本美を感じとり、古き良き日本の伝統や霊性を発見できたわけだが、その鋭い感覚は、時に常識を超えた行動につながった。
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