維新の「副首都構想」は福岡に出し抜かれる? 大阪にはない「鉄道ネットワーク」の強み
災害、そして「鉄道」という福岡の優位性
なぜ福岡が副首都候補地に急浮上しているのか? 福岡市の高島宗一郎市長をはじめ福岡政財界の関係者たちは「そもそも福岡は地震リスクが小さい」「南海トラフを想定した場合、東京と同時に被災することがない」といった理由を挙げている。
南海トラフを震源とする大規模地震が起きれば、大阪も無傷ではいられない。例えば、大動脈の東海道新幹線が被災したら、大阪にも混乱が生じ、経済活動も停滞する。維新が強調する「東京のバックアップ機能」を果たせない可能性が高いのだ。
福岡の優位性は、そうした災害のリスクヘッジだけにとどまらない。近年の福岡は鉄道ネットワークの充実に力を入れてきた。それが着実に都市の発展につながっている。
2010年代までの福岡は、鉄道よりバスを公共交通の主軸に据えていた。福岡を地盤にする西日本鉄道(西鉄)は、鉄道事業者ながら広大なバスのネットワークと運転本数を誇り、日本一のバス会社と形容されていた。
いまだ福岡はバス王国のイメージが強いものの、近年は鉄道の整備に力を注ぎ、それが福岡の発展を促している。福岡の鉄道整備でエポックメイキングになったのが、2023年に延伸開業した福岡市地下鉄七隈線だった。
同線は1970年代から整備計画が議論され、2005年に橋本駅―天神南駅間で部分開業を果たしているが、博多駅まで延伸開業したことは地下鉄の利便性を飛躍的に向上させた。
博多駅は新幹線が発着する福岡の玄関駅だが、その影響力と存在感は福岡県内にとどまらず九州全体に及ぶ。そのため、広範囲にわたって経済効果を生み出すことにつながった。
なにより博多駅は福岡空港から地下鉄で2駅の至近距離にある。七隈線の延伸開業は東京と福岡の距離を縮めただけではなく、東京と九州の関係を強化する効果を発揮した。
福岡市には地下鉄が七隈線のほか、空港線と箱崎線の3路線ある。そのうち基幹路線の役割を担っているのは空港線で、同線は博多駅や繁華街に位置する天神駅と福岡空港駅を結んでいる。基幹路線だった空港線に加えて、七隈線も延伸によって天神と博多を結ぶ路線になった。これにより、鉄道の利便性は一気に向上する。
都市開発が下地に
こうした鉄道ネットワークを整備する呼び水になったのが、国家戦略特区を活用した都市開発にある。国家戦略特区とは、第2次安倍政権が導入した内閣が主導する形で進めた地域限定の規制緩和政策だ。
先述したように、福岡空港は市内中心部から至近距離にあるが、それゆえに航空法によって建物の高さ制限を受けていた。中心部に高いビルを建てられないというハンデから、それまでの福岡の都市開発は縦に伸ばすのではなく、横に広げるしか術はなかった。横に広がる都市は、郊外化という宿命を負う。それが福岡をバス王国にしていた要因でもある。
2014年に福岡市の中心部が国家戦略特区に指定されたことで航空法の規制が緩和された。これによって市中心部では天神ビッグバンや博多コネクティッドといった大規模再開発が相次ぎ、市中心部の建物は急速に上へ上へと伸びていくことになる。これが市中心部の発展へとつながり、同時に鉄道ネットワークが充実する下地にもなる。
福岡は2000年代より急速に経済発展を遂げる中国・韓国・台湾といった東アジアのハブになることを目指してきた。そうした新興国の経済発展も福岡のプラス材料になっている。
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