奥様会のボスママ、車種やマンションの階数で格付け…驚きの【駐在妻あるある】 日本人村の洗礼と見えないヒエラルキーで夫婦に限界が
【前後編の後編/前編を読む】華やかな「駐在妻」のリアル…駐妻だった母の悲劇、“自分も同じ道を辿りかけて” 専門カウンセラー女性の告白
傍目にはきらびやかに見える「駐在妻」(以下、駐妻)の存在……だが、現実は意外にも過酷だ。日本での快適な暮らしから一転、海外生活の小さな不便が少しずつストレスとなって積もっていく。また自らのキャリアを捨てて「夫のケア要員」に徹することを余儀なくされ、自分の存在意義を見失って心を病むケースも少なくない。
駐妻だった母が自死、自らも4年間弱の在タイ駐妻期間に心を病みかけたという駐妻専門心理カウンセラーの前川由未子さんに、自身の経験や体験者の声などを聞いた。
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【写真を見る】駐在先の米国で亡くなった美貌の母と幼い日の前川さん/駐在先のプール付き豪邸の写真も
海外生活の物理的な不便さや孤立感に加えて、駐妻を内側からジワジワと追い詰めていくのが日本人コミュニティ特有の人間関係だ。
「国にもよりますが、タイのバンコクでは半径2~3㎞ほどの狭いエリアに大多数の日本人が住んでいて、さながら〝日本人村〟のような状態になっています。マンションによっては、一棟まるごと日本人世帯というケースもあります。同じフロアに夫の上司一家が住んでいたり、友人の友人が知り合いだったりと、独特の閉塞感があるのは事実ですね」(前川さん、以下同)
人間関係が円滑であれば心強い味方になるが、コミュニティが狭いだけにあらゆる情報が筒抜けになり、窮屈な思いをすることも少なくない。
「時間に余裕があるぶん、日本では気にならないような些細なことが目に付いたり、余計な勘繰りをしてしまったりしがちなんです」
車種による「格付け」
分かりやすいのが、車の問題だ。
「タイでは会社から車が支給されますが、役職によって車のランクが明確に分かれます。偉い方は高級車、若手は標準的な車種といった具合。毎朝、マンションの前でドライバーが車をつけて出迎えるので、どの車に乗り込むかで“あのご主人の役職はこのくらいね”と推測されてしまうのです」
例えば、庶民的な価格の「シエンタ」から「アルファード」などの高級車に替わった瞬間、「あの人は昇進した」との噂が一気に拡散される。
さらに、幼稚園や学校の補助金の額や、提供される住まいのグレードなど、会社の規模による待遇の差は、無用な嫉妬心を生む火種となっている。
こうした「格差」や「ヒエラルキー」が分かりやすく現れるのが、企業の「奥様会」。コロナ禍以降、開催自体は減っているようだが、いまなお継続しているところが多く、「ボスママ」的な存在がある会も……。
「私の夫の会社の奥様会は、いい方ばかりで嫌なことはありませんでした。その一方で、聞いた話の中では、商社の奥様会は比較的きらびやかなことが多いようで、現地の拠点長夫人の人柄や方針によっては、明確なヒエラルキーが存在しているところもあったそうです。席順が厳格に決まっていたり、会に出席するために高級ブランドのコピー品を用意したり、洋服を新調して臨んだりしている……という切実な話も耳にしました」
上司の妻に気に入られるため、あるいは周囲との見栄の張り合いなど、その思惑はさまざま。駐在先では、妻の立ち振る舞いが「夫の社内評価」に直結することもあるため、彼女たちは私生活でも安易に気を抜くことができないという。
「上司の奥様から直接“あなたの行動はご主人の評価に関わるわよ”とアドバイスされたというケースや、夫から“とにかく目立つな”と釘を刺されたという話もよく聞きます」
こうしたコミュニティは、良好な関係が築けていれば、急な病気やワンオペ育児で困った際に、差し入れをし合うような「助け合いの精神」に救われることもある。しかし、孤独を防ぐためのコミュニティが時として逆効果になり、心を疲弊させてしまうケースも少なくなく、あえて「日本人街から離れる」ことを選択する人もいるそうだ。
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