キャラソングに“英語の歌詞”、「JAL」とのコラボ企画も…人気アニメが牽引する「聖地巡礼ビジネス」の最前線に迫る
JALグループとの大規模提携
こうした設計から、「虹ヶ咲」には海外から「聖地巡礼」に訪れるファンが少なくない。海外からのファンは出演声優による音楽ライブをはじめとするイベントに主に合わせて来日。こうした熱量あるファンは「虹ヶ咲」に限らず「ラブライブ!」シリーズ全体のファンである場合も多いため、日本を訪れてまずお台場に巡礼し、翌日沼津を訪れるといった観光ルートが形成されている。アニメ単独だけでなく、音楽展開などとも合わせた相乗効果による「聖地巡礼」が起きているのだ。
「虹ヶ咲」の舞台は東京だけにとどまらない。2024年9月公開の映画「完結編 第1章」では沖縄、2025年11月公開の「第2章」では関西(京都・大阪・神戸)が舞台となり、地方への送客装置としても機能している。
それぞれ舞台地では公式でロケ地マップを配布しており 、第1章では沖縄本島内50カ所、第2章では京都・大阪・神戸で計88カ所が載っている。これでも作中の舞台地を網羅したものではなく、登場した舞台を全て探訪するには何度も来訪する必要がある。
特筆すべきは、日本航空(JAL)グループとの大規模な提携だ。JALは「完結編」の公開に合わせ、作品の舞台を巡る公式コラボツアーを展開。これは単なる移動手段の提供ではなく、GPSとAR(拡張現実)技術を組み合わせ、現地の特定スポットでスマホをかざすとキャラクターが現れる「デジタル現地体験」を組み込んだものだ。
実は高くない中国依存度
第1章では、那覇空港や観光名所を巡るルートが設定され、第2章では京都・大阪・神戸の3都市を周遊するプログラムが組まれている。コラボ特設サイトでは日本語だけでなく、英語と中文(繁体字)でもページ展開しており 、台湾をはじめとするインバウンド旅行者も対象にしているのは明白だ。
このように、「聖地巡礼」を打ち出す作品の中には、海外展開やインバウンド旅行者へのターゲットを明確に意識した作品もある。これらの作品には中国から訪れるファンは決して少なくないが、こうした旅行者の大半はツアーではない個人旅行だ。中国政府による渡航自粛の影響は軽微だと考えられる。
実際に、筆者が取材した11月下旬に実施されたアニメ系音楽ライブでも、演者が「海外から来た人」と観客に聞いた際に3~4割の手が挙がり、さらにどこから来たかという質問でも、中国から来たという人も相当数手が挙がったことがある。
また、国内旅行業者の多くは、少なくともアニメ関係のツアーに関しては中華圏といっても台湾をメインターゲットにしたものが多いのが現状だ。業界として、実は中国依存度が高くない構造があるのだ。
光があれば影がある。訪日外国人観光客の増加はオーバーツーリズムの弊害を生む。第2回【世界的ヒット「スラムダンク」聖地の“踏切”に観光客が殺到…オーバーツーリズムを回避する単純明快な方法とは】では、その深刻な被害についてお伝えする──。
註:引用したデータなどは以下の通り
https://www.jnto.go.jp/news/press/20251217_monthly.html
https://yamatogokoro.jp/inbound_data/58816/
https://www.jnto.go.jp/news/press/20251217_monthly.html
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC150OM0V11C25A1000000/
https://filmoffice.ocvb.or.jp/filmoffice/wp-content/uploads/2025/08/ラブライブロケ地マップ_電子データ.pdf
https://jaloshikatsu.com/




