キャラソングに“英語の歌詞”、「JAL」とのコラボ企画も…人気アニメが牽引する「聖地巡礼ビジネス」の最前線に迫る
日本のインバウンド市場が記録的な拡大を続けている。日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2025年1月から11月までの訪日外国人旅行者数(推計値)は3906万5600人に達し、前年同期比17・0%増となった。これは、年間過去最多を記録した2024年の3687万人をすでに上回っており、コロナ禍前の2019年実績(約3188万人)も大幅に超える水準だ。(全2回の第1回)【河嶌太郎/ジャーナリスト】
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【写真】ポップや等身大パネル、さらにはマンホールまで! 「聖地巡礼」を盛り上げる“キャラクター展開”実際の様子
10月単月では389万6300人と月間の過去最高を更新。2025年の年間訪日客数は4000万人を突破する見通しとなっている。国・地域別では、中国、韓国、台湾といった東アジア市場に加え、米国が初めて年間累計300万人を超えるなど、17の国と地域が年間過去最高を更新している。
11月の高市首相による台湾有事発言への報復措置として中国からの団体旅行自粛が目下起きているものの、11月の訪日外国人旅行者数(同)は351万8000人で11月の過去最高を更新した。
この11月は韓国や米国、台湾など19の国と地域が過去最高を記録。円安基調や各国での訪日旅行需要の高まりを背景に、中国以外からも世界中から観光客が日本に押し寄せており、日本は世界有数の観光立国としての地位を確立しつつあるのだ。
訪日客数が過去最高水準に達する中、旅行の動機も「買い物・温泉・定番観光」だけでは語り切れなくなっている。その一角として存在感を増しているのが、アニメの舞台となった場所を訪ね歩く「聖地巡礼」や、ライブ・展示・コラボカフェなど作品連動型イベントへの参加だ。
作品の風景を現地で“答え合わせ”する体験はSNSで共有されやすく、次の来訪者を呼ぶ導線にもなっている。さらに、開催時期が限られるイベントは旅程を組む強い理由になり、地域側にとっても「点の観光」ではなく滞在・回遊を促す武器になっている。
佐賀県全体が「聖地」
近年も「聖地巡礼」でも話題を集める作品は年間何作品も展開されている。代表的な例としては、愛知県豊橋市を舞台とし、2024年にTVアニメが放送されたアニメ「負けヒロインが多すぎる!」では、JR東海との公式コラボや、「豊橋まちあるきスタンプ」をはじめとする市内周遊企画が奏功し、週末には数百人単位のファンが街を訪れる現象が起きている。
また佐賀県全域を舞台とし、2018年と21年にTVアニメが放送された「ゾンビランドサガ」は、県内全20市町全てにオリジナルデザインのマンホールを設置。佐賀県を代表する「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」や「伊万里湾大花火」といった行事とのコラボが2018年以降続いている。
2025年10月から公開中の劇場版に合わせ、作中の舞台となった武雄市にある「佐賀県立宇宙科学館《ゆめぎんが》」などを活用した施策を佐賀県は展開。キャラクターが登場するデジタルフォトフレームを使った撮影ができるフォトスポットを県内8カ所に26年1月末まで設置している。またJTBと連携してコラボ宿泊プランや聖地巡礼バスツアーを企画・販売し、移動と宿泊をパッケージ化した旅行商品を国内外へ展開した。
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