キャラソングに“英語の歌詞”、「JAL」とのコラボ企画も…人気アニメが牽引する「聖地巡礼ビジネス」の最前線に迫る
「聖地巡礼」しやすい設定
アニメの作り手側も、この海外需要を見越した展開をしている例がある。その例が2020年と22年にTVアニメが放送された「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」(以下、『虹ヶ咲』)だ。静岡県沼津市を舞台とし、移住者も300人以上いる「ラブライブ!サンシャイン!!」に続く、「ラブライブ!」シリーズ3作目だ。
「虹ヶ咲」の舞台は地方都市ではなく、東京のお台場と有明地区だ。また、タイトルにもある「虹ヶ咲学園」の校舎のモデルは東京ビッグサイトという公共施設にしており、「聖地巡礼」しやすい点も特徴だ。そしてこのエリアの特徴は、既存の商業施設や交通機関が作品と密接に連携し、街全体が「巨大なテーマパーク化」している点にある。
象徴的なのが、アクアシティお台場やデックス東京ビーチといった大型商業施設での2020年から続く継続的なコラボだ。アクアシティでは「TOKIMEKI Winterフェス」として、館内のラーメン国技館との連動企画や、メンバーによる館内アナウンス放送を実施。単なるポスター掲示にとどまらず、買い物や食事といった消費行動そのものが「聖地体験」となるよう設計されている。
公共交通も例外ではない。お台場・有明地区を走るゆりかもめは開業30周年を記念し、2025年秋から大規模なタイアップを展開。駅員制服を着たメンバーのビジュアルが各駅を彩り、沿線13施設を巡るデジタルスタンプラリーを10月24日から12月25日まで開催した。
海外を意識した楽曲
これらの施策はファンを広域に回遊させる仕掛けとして機能し、また一過性のイベントではなく、街の風景として定着している。ファンが訪れるたびに新しい発見がある継続的な来訪動機を創出しているのだ。
東京の臨海地区を舞台にすることで、国内旅行者も羽田や成田に降り立った海外旅行者にとってもアクセスが容易だ。また、もともと観光地要素の高い地域であるため、初めて日本や東京を訪れる旅行者にとっても観光の動機を作りやすいのも特徴だ。この点では、先述の「ラブライブ!サンシャイン!!」と比べると対照的だとも言える。
「虹ヶ咲」の特徴は、海外の視聴者にも届きやすいキャラクター設計にある。作中で活躍する12人のスクールアイドルのうち、スイス出身のエマ・ヴェルデ、米国出身のミア・テイラー、香港出身の鐘嵐珠(ショウ・ランジュ)の3人は海外からの留学生として描かれている。
楽曲展開においても海外を意識しており、ミアが歌う楽曲には英語だけの曲が少なくないほか、ランジュの楽曲の多くが、日本語、中国語、英語のトリリンガルの歌詞になっている。
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