60歳夫の「人生の肝」3人の女性 別れない妻、元・不倫相手…自称「最後の恋」のお相手は
【前後編の後編/前編を読む】不倫を経て「3度目の本気の恋」継続中…60歳夫が妻の振る舞いで“透明人間”になったワケ
田所寛一さん(60歳・仮名=以下同)は、現在、3度目の「本気の恋」の最中にある。結婚したのは29歳のときで、相手は会社の同期の裕美子さんだった。彼女は仕事の才能に恵まれ、36歳で娘が生まれたころには、会社の幹部候補にまで出世。お互いに尊重し合う夫婦関係を築いた。飲食店を営むシングルマザーの母に育てられ「父」を知らない寛一さんだったが、娘には惜しみない愛情を注いだという。だが、娘の高校留学計画を寝耳に水で明かされ、しかもその存在を知らされていない義父の遺産をそこに充てると知り、彼は自分を「透明人間」のように感じたという。
***
【前編を読む】不倫を経て「3度目の本気の恋」継続中…60歳夫が妻の振る舞いで“透明人間”になったワケ
そんなときだ。幼なじみの舞香さんからふいに連絡があった。中学生まで同じクラスで、舞香さんの親が共働きだったため、よく寛一さんの母の飲食店に早めの夕飯を食べに来ていた。おっとりした舞香さんに心動いたこともあったが、違う高校に進学したため、自然と疎遠になった。
「僕が上京するとき、舞香がバス停まで来てくれたのは覚えています。しみじみと、『寛ちゃん、もう帰ってこないんだね』と言って。確かにもうここに住むことはないだろうと思っていたけど、その言葉が妙に心に染みましたね」
それから27年の時を経て、舞香さんはSNSを使って寛一さんに連絡をとってきた。東京に行くから会えないかという話だった。寛一さんは一も二もなく快諾した。
「たとえ知り合って40年近い歳月がたっていても、幼なじみは特別ですよね。会ったときは、舞香も年食ったなあと思わず言っちゃいましたが、『寛ちゃんこそ』と笑い合って、あっという間に幼なじみに戻ってしまった。お互いの27年間を話すには時間が足りませんでした」
ふっと気づいて「東京には、旅行で来たの?」と尋ねたら、舞香さんは「ううん、家出」と言った。思わずビールを吹き出しながら「なんだ、それ」と言うと、「もうさ、なにもかも嫌になっちゃったの」と舞香さんはつぶやいた。
「愛人」だった舞香さん
舞香さんは地元の高校を出て就職した。周りは20代前半で結婚していったが、彼女はなかなかその気になれなかった。結局、地元のとある経営者の愛人になった。それも生活していくためのひとつの手段よと彼女は言った。寛一さんはなんとなく納得した。
「舞香に息子が生まれると、50歳間近の経営者は大喜びだった。彼には娘しかいなかったから。舞香は子どもを取り上げられそうになったんだそうです。それだけは嫌だということで、偽の子連れ心中を図ったり弁護士をつけたりしながら、なんとか子どもを手元で育てることができた。ただ、その子が中学生になるころ、自らの意志で経営者のもとへ行き、そこから学校へ通うことになったそう。彼は非常に成績優秀だったので、実父のもとでさらに勉強したかったらしい。舞香は『バカな母親より賢い父親を選んだんだと思う』と言っていました。もちろん交流はあるそうですが、息子は彼女の生きがいだったんでしょうね。だからなにもかも嫌になって家を出てきてしまったらしい」
[1/3ページ]


