東日本大震災で「都内マンション価格」はどう動いたか 「市場の異変」が表れたポイントとは

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マトリクスで見る「街の分岐点」

 それでは、必ずしも同時には動かない「価格(成約単価指数)」と「流動性(成約件数指数)」を重ねて見たとき、各区はどのような位置に立っていたのだろうか。

 その関係を整理したのが、図3である。

 横軸に成約単価指数、縦軸に成約件数指数を取り、2010年を基準線(100)とした4象限のマトリクスである。位置関係は以下のように表れる。

・右上:価格も流動性も回復した市場

・右下:価格は戻ったが動きは鈍い市場

・左上:動きはあるが価格が戻らない市場

・左下:価格・流動性ともに弱い市場

 この4象限のマトリクスで注目すべきは、回復期である2014年~2015年に、各区がどのエリア(象限)へ移動したかである。

中央区と江東区では「売れ始めたあと、遅れて価格が戻った」

 中央区は、震災直後には価格・件数ともに基準値を下回り、左下象限に位置していた。しかし回復期には、成約単価指数が103、成約件数指数が121へと上昇し、明確に右上象限へ移動している。

 江東区も同様である。震災前は件数がやや弱く、震災直後は流動性が先に回復したが、回復期には価格・件数ともに106、112となり、右上に定着した。

 この2区に共通するのは、「売れ始め、遅れて価格が戻る」という市場における一般的な回復パターンが確認できる点だ。市場参加者の評価が、行動(取引)と価格の両面で一致したエリアといえる。

 この2区は、回復期に右上象限へと明確に移動した。価格が戻っただけでなく、取引も活発化し、市場からの再評価が数字として可視化された区である。

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