「盛れミ」異例のバズを生んだワケ ハロプロ実力派の「情熱的な楽曲」がグループの枠を超えた広がり

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赤い衣装と激しいダンス

 そんなバズりの方程式が定着してきた中で、Juice=Juiceが叩きつけた「盛れ!ミ・アモーレ」はとにかく熱く圧が強い。もともとこのグループが得意とする情熱的なラテン・ファンクで、赤い衣装と激しいダンスが鮮烈。その意外性が、昨今のキラキラ・キュートな曲に慣れてきたユーザーの心をつかんだ。

 それでいて、作詞作曲を担当した山崎あおいによる歌詞は、しっかり今の時代にありがちな自己肯定感の強さも投影している。ありのままの自分以上に、最高に「盛った」自分を愛せと言い放つ歌のストーリーは、やっぱり令和流だ。

 そして単に良い曲を出せば流行るとは限らない。今バズっているのは、サビ直前に「シャッターチャンス!」とシャウトし派手に足を蹴り上げ、サビに突入するまでのおよそ30秒間のパートだが、最もインパクトの強いパートを切り取れたことが功を奏した。

 サビならばよい、とは限らず、例えば超ときめき宣伝部の「超最強」は、「スマホのカメラロール」が登場するサビ前のBメロパートを切り取った動画の方が、サビのダンス動画よりヒットしたことでバズりを引き起こした。ショート動画が流行るか否かにも、曲の切り取り方が重要というわけだ。

 もともと「盛れ!ミ・アモーレ」の盛り上がりにも偶然の下地があった。YouTube番組「ハロ通GAMES」に出演していたハロプロの後輩グループ・OCHA NORMAのメンバーたちが、配信中にこの曲を口ずさんだり、踊ったりしていたのがファンの間でも話題となり、「隙あらばアモーレ」、略して“隙アモ”として定着。

 ハロプロ内でブームになる予兆はあったが、曲リリース後のファンからのコールたっぷりのイベント模様が動画で拡散されたり、勢いを察知してグループのアカウントからもメンバーが踊る動画を公開し始めたことで、取り巻く熱気が一般層の目にも留まることとなった。

 さらにこのブームが興味深いのは、これまでファンから「ネット戦略が弱い」と目されてきたハロプロがSNSでヒットを叩き出したところにもある。

 今では当たり前になった音楽各種のサブスクサービス(Apple Music、Spotifyなど)への配信もハロプロは遅れ気味で、まだまだサブスク解禁された楽曲は少ない。あくまで生歌によるライブパフォーマンスを主戦場としてきたハロプロの、その鍛えた実力がようやくSNSでもバイラルヒットを成し遂げた、という意味でも特筆すべき現象になった。

 2013年結成のJuice=Juiceは、今年で14年目。メンバーの入れ替わりを経つつも、ラテン・ファンク、シティポップ……とどんなジャンルも歌いこなせる実力派グループのポジションは譲っていない。

 昨年は休養していたメンバーが復帰し、研修生時代から卓越した実力が話題だった大型新人・林仁愛が加入して11人体制での初のシングル曲が「盛れ!ミ・アモーレ」「四の五の言わず颯(さっ)と別れてあげた」になった。

 グループの長所を十二分に活かした「盛れミ」の旋風に、ハロプロファンも他のジャンルのファンも色めき立っている。「可愛い」の王道もあれば、こうした「熱い実力派」もバズを引き起こす。そんな多様性で、日本のアイドル界は今年もまた面白くなっていく。

大宮高史
エンタメでは演劇・ドラマ・アイドル・映画・音楽にまつわるインタビューやコラムを執筆。そのほか、交通・建築など街ネタも専門分野。

デイリー新潮編集部

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