「風呂カラオケがおススメ」「のどあめよりガムを」 健康長寿の命「のど」の守り方

ドクター新潮 ライフ

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熱いもの、辛いものに要注意

 ハミングも同じなのですが、まずはシンプルに声を出すこと、歌うことができる環境を整えることによって、トレーニングに集中できるだけでなく、「前よりも声が出るようになったな」「以前より歌いやすくなったな」という変化を感じやすいというメリットもあります。

 そして、昭和のレコ大曲の優れているところは、読者世代的にそれを歌うのが最も楽しいからです。「こんにちは赤ちゃん」(梓 みちよ)、「また逢う日まで」(尾崎紀世彦)、「喝采」(ちあきなおみ)、「ルビーの指環」(寺尾 聰)、「パラダイス銀河」(光GENJI)……。とりたててトレーニングという意識を持たなくても、お風呂で楽しい時間を過ごせ、結果的にのどが鍛えられること請け合いです。

 ストレッチとトレーニング以外では、普段の生活習慣も、のどの健康にとって大切なのは言うまでもありません。

 まず、食事では熱いもの、辛いものの取り過ぎには要注意です。のどは粘膜に覆われていますので、そこに熱いもの、辛いものを流し込み続けるのは、極端に言えば目にタバスコを垂らすようなものです。

 また、のどの粘膜の潤いを保つには、のどあめよりもシュガーレスのガムやミントタブレットがお勧めです。のどあめは糖分を多く含んでいる場合があり、常時なめると血糖値の上昇を招く恐れがあるのに加え、粘り気が強いと痰が絡みやすい。それよりも、ガムやミントタブレットで唾液の分泌を促す方がいいでしょう。酢昆布や梅干しを取ることでも唾液の分泌が促進されるので、のどの潤いには役立ちます。

定年後の男性

 最後に、のどの老いに「特に注意すべき人たち」について触れておきたいと思います。それは「定年後の男性」です。

 一般的に男性は女性よりも雑談が苦手といわれています。私も取材ならばよどみなく話せますが、初対面の記者さんと雑談しろと言われたらもじもじしてしまうことでしょう。そうした男性、とりわけ職場を離れ、人と喋る機会が減った男性は、極端にのどを使わなくなり、声帯が衰えていきます。

 会話がなくなると、認知機能も衰えていきフレイルになりやすくなります。踏ん張る力だけでなく、この点においても、声を出し、会話することは健康長寿にとって極めて重要です。こうしたことを総合的に考えると、次のように言えるかもしれません。

 老いはのどから始まる、と。

渡邊雄介(わたなべゆうすけ)
国際医療福祉大学医学部教授。神戸大学卒業。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定指導医・耳鼻咽喉科専門医。専門は音声言語医学。山王メディカルセンター副院長を兼任し、一般患者からプロの歌手まで、多くの診断・治療を行っている。『フケ声がいやなら「声筋」を鍛えなさい』『声筋のすごい力』などの著書がある。

週刊新潮 2025年12月25日号掲載

特別読物「『転倒』『フレイル』を招く意外な事実 健康長寿は『のど』が命」より

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