加山雄三、松田聖子、吉田羊、榮倉奈々…正月だから観たい「ハワイ撮影の映画」、人気スターを通して感じる“憧れ”の変遷【年始の映画案内】

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 温暖な気候、美しい景色、流れるハワイアンソング……年末年始をハワイで過ごすことは、日本で長く憧れとされてきた。その楽園イメージを作った一因に、映画があることは明白だろう。ハワイはこれまで、日本映画の中でどのように描かれてきたのか。映画解説者の稲森浩介氏が、いま観たくなるハワイ撮影の映画5本を紹介する。

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まだ見ぬ憧れの地

〇「ハワイの若大将」(1963年)

 日本人の好きな南の島はずっとハワイだった。芸能人がハワイで正月を過ごす様子を、テレビが追いかけていたのを覚えているだろう。映画の舞台になった作品も多い。「ハワイの夜」(1953年)が初めての現地での本格的撮影だが、これは戦時中の恋愛物語だ。リゾート地ハワイが登場するのは、「若大将」の登場まで待たなくてはならなかった。

 加山雄三主演の「若大将」シリーズは1961年から1971年まで17作品が作られた(1980年に「帰ってきた若大将」)。「ハワイの若大将」は4作目で、ハワイでオールロケされたものだ。

 京南大学ヨット部主将の若大将・田沼雄一(加山雄三)は、ハワイに行ったまま帰ってこない青大将こと石山(田中邦衛)を、連れ戻すことを頼まれて渡航する。そこで日本で出会った化粧品会社の澄子(星由里子)と再会するが、一騒動が起きる。

 このシリーズは、頼まれたら嫌と言えない好漢・若大将が主役だ。水泳、ヨット、スキーが得意のスポーツマンで、憎まれ役は青大将という設定は変わらない。学生だったりOLだったりと毎回役は変わるが、恋の相手はいつも澄ちゃん(澄子)だ。星はその“澄ちゃん”を11作目の「リオの若大将」まで務めている。

当時の憧れが詰まったハワイ描写

 ハワイの描写は、当時の日本人の憧れが全て詰め込まれている。飛行機は懐かしのPAN AM(パンアメリカン航空)で、宿泊はヒルトンホテルだ。若大将はワイキキビーチで澄ちゃんにウクレレを弾いて歌い、サーフィンをする。

 日本人の海外旅行が自由化されたのは、1964年(昭和39年)でこの作品の翌年だ。つまり公開当時は、ビジネス以外では自由に海外旅行ができなかったのだ。それだけに、この映画で描かれるハワイはどんなに素敵に見えただろうか。

 海外旅行者がまだ13万人弱だった時代で(「数字が語る旅行業」日本旅行業協会)、往復航空券代は、約30万円から50万円だったという。大卒初任給が平均2万6000円の時代だ。一般の人が気軽に行けるようになるのは、まだだいぶ先だった。

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