加山雄三、松田聖子、吉田羊、榮倉奈々…正月だから観たい「ハワイ撮影の映画」、人気スターを通して感じる“憧れ”の変遷【年始の映画案内】

エンタメ 映画

  • ブックマーク

松田聖子のハワイ

〇「プルメリアの伝説 天国のキッス」(1983年)

 1982年に日本人の新婚旅行先が、宮崎県を抜いてハワイがトップになった。海外の行き先は、3組に1組がハワイを選んだという(JTB「新婚旅行動向調査」)。この頃のハワイを舞台にした作品に、松田聖子が出演している。

 ハワイで生まれ育った早坂恵美子(松田聖子)は、ホテルチェーンの御曹司・国吉明(山下真司)とお見合いをする。夏休みに日本を訪ねた時に、ウィンドサーフィン選手の寺尾慎治(中井貴一)と出会う。境遇の違う2人は強く惹かれ合うが、明は諦められずに思いがけない行動に……。

 少し強引な展開と結末だが、全体的にキラキラしていてバブル期へと向かう時代の空気を感じさせる。マカプウ岬やシーライフ・パーク、ワイキキのカラカウア通りなど有名スポットが頻出する。

 細野晴臣作曲、松本隆作詞による松田の同名曲「天国のキッス」は、チャート1位を記録しアイドルの頂点を迎えていた。初のキスシーンにも挑んでいるが、「これを聞いたファンが、松田聖子にキスをさせないための署名運動をした」というエピソードが微笑ましい(『キネマ旬報』1983年4月下旬号)。

 日本人のハワイ渡航者数は、1987年に100万人を突破し、1997年には過去最高の221万人になった(ハワイ州産業経済開発観光局)。ジャンボ機導入や超円高などが要因と考えられるが、ついにハワイが身近な存在になったのだ。

日本人が訪れない場所

〇「ホノカアボーイ」(2009年)

 本作公開の前年にリーマンショックがあり、ハワイ渡航者は117万人とピーク時から半減している。日本人のハワイでの過ごし方にも変化が表れ始めたようだ。これはあまり知られていない街を訪れた青年の物語。

 失恋の場所でもあるハワイ島の北部・ホノカアにやってきたレオ(岡田将生)は、映画館の映写技師となる。この街に住む一風変わった日系人には、食べ物には目がない映画館主(松坂慶子)や87歳になってもアダルト誌が好きな老人(喜味こいし)、そしていたずらと料理が好きなビー(倍賞千恵子)たちがいた。ビーの作る料理を毎日食べながら、やがてレオの心に少しずつ変化が訪れる。

 サトウキビの甘い匂いがするこの街には、満月の光で現れる虹「ムーンボー」を見た人は、願いが叶うという伝説がある。劇中「この街で死んだ人はみんな風になる」というセリフがあるが、時の流れが日本と違うのではないかと思わせる静かでゆっくりとした映像だ。

 レオが映写技師をする映画館は「HONOKAA PEOPLE’S THEATRE」といい、今でも実在する。看板には「1930」とあるので、およそ100年前のものなのだろう。買い物や観光ではなくこんなハワイの過ごし方もいいなあ、と思わせる作品だ。

次ページ:息子の魂を探して

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。