加山雄三、松田聖子、吉田羊、榮倉奈々…正月だから観たい「ハワイ撮影の映画」、人気スターを通して感じる“憧れ”の変遷【年始の映画案内】

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息子の魂を探して

〇「ハナレイ・ベイ」(2018年)

 一時低迷していたハワイへの渡航者は、2019年には150万人まで回復する。しかし、2020年から始まるコロナ禍で大幅に減ってしまった。

 本作は、村上春樹の短編集『東京奇譚集』(新潮文庫)の1篇を映画化したもの。サチ(吉田羊)はハワイのハナレイ・ベイで息子を失う。サーフィン中に鮫に襲われ右足を失い亡くなったのだ。以来サチは、毎年命日に現地を訪れていた。10年目のある日、2人の日本人から片足のサーファーを見かけたと聞き、サチは息子ではないかと思いひたすらビーチを探し歩く。

 サチはビーチに座って海を眺め、読書をするだけだが、そこにはやりきれなさと哀しみが漂う。吉田は「セリフが少ないうえに、感情を吐露する場面もほとんどなかったので、撮影中は何度も悩んだし、これをやり終えたら私は女優をやめるかもしれないと感じるくらいに、サチは本当に手強い役でした」と語っている(『キネマ旬報』2018年11月上旬号)。

 サチは息子とは心を通わす関係ではなかった。それだけにもう一度と思ったのだろう。最後に「あなたに会いたい」と、深く仕舞い込んでいた思いをつぶやく。吉田は「代表作ができたと思いました」(同)とも明かしている。

 劇中、有名な場所は出てこない。雄大な山や空、海を映し出して彼女の哀しみを表現している。こんなふうにハワイと向き合っている人も、いるかもしれない。

榮倉奈々が案内するハワイ

〇「わたしのハワイの歩きかた」(2014年)

 最後に、自分と向き合う物語がハワイの現地案内にもなっている、明快な一作を紹介しよう。

 26歳の小山田みのり(榮倉奈々)は、出版社で実用書を作っているが、仕事にも人間関係にも疲れていた。ある日、友人のハワイ挙式の二次会を頼まれた。みのりはそれをガイドブック制作の仕事にして、ハワイで楽しむことを考える。訪れたハワイでは、パーティ荒らしの茜(高梨臨)や事業を成功させることを夢見る勉(瀬戸康史)、浮浪者のような知哉(加瀬亮)たちと出会う。酒が大好きなみのりは飲みすぎて失敗もするが、次第に自分の人生を見つめ直していく。

 主人公が実用書を作るというストーリーなので、地元の人しか行かない店や場所がたくさん映し出される。また、この映画と連動した本も出版された(「GIRLS LOCO HAWAII 榮倉奈々『わたしのハワイの歩き方』から生まれたハワイガイド」宝島社)。

 榮倉は、この前年に「図書館戦争」、翌々年には「64-ロクヨン 前編・後編」でヒロインを演じるなど、多くの作品に出演していた時期だ。そして、ドラマ「Nのために」(2014年、TBS)で共演した賀来賢人と2016年に結婚する。新婚旅行は、ハワイではなかったのだろうか。

稲森浩介(いなもり・こうすけ)
映画解説者。出版社勤務時代は映画雑誌などを編集

デイリー新潮編集部

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