「辛口コラムニスト」による2025年「連ドラ」批評 主演男優賞は「松坂桃李」 栄えある主演女優賞は?
辛口コラムニスト・林操氏による今年のドラマ・ベスト&ワースト。前編【2025年「ドラマ総まくり」 辛口コラムニストがフジテレビの「警察モノ」連発を叱る!】では、民放の連続ドラマ・ワースト3位を13本も選んだために紙幅が尽きた。続く中編では、ベスト3位の後にワースト2位、さらにベスト2位が発表される……はず!?【前中後編の中編】
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【写真を見る】2025年ベストドラマ、ワーストドラマは? 辛口コラムニストが選出
アナウンサー:ワースト3位の他の作品の分析も伺いたいところですが、時間の制約がありますので今度はベストのほうの3位の発表をお願いします。
林操:
了解。2025年の連ドラ・ベスト3、第3位は……
▼「御上先生」【TBS系/日曜21時/1月期】
▼「対岸の家事~これが、私の生きる道!~」【TBS系/火曜22時/4月期】
▼「しあわせな結婚」【テレビ朝日系/木曜21時/7月期】
▼「じゃあ、あんたが作ってみろよ」【TBS系/火曜22時/10月期】
……です。
アナ:お、不気味なくらい順当な4本ですね。林さんが評価されたポイントはどのようなものでしょう。
林:これらのドラマはどれも、ホン(脚本)・ヒト(配役)・シゴト(演出・撮影・美術その他いろいろ)の3要素のうち、少なくとも2つ以上が高水準でした。ホンで言うなら「御上先生」の詩森ろばと「幸せな結婚」の大石静によるオリジナル脚本、「対岸の家事」の朱野帰子と「じゃあ~」の谷口菜津子による原作がどれも見事。
アナ:「対岸の家事」と「じゃあ~」については、脚本家ではなく原作者をホン担当として挙げられるんですね。
林:その2本は複数の脚本家が分担・分業で書いているので、ホンの作家性は原作による部分が大きいと考えています。
アナ:なるほど。
林:4作のうち「御上先生」「対岸の家事」「じゃあ~」の3本は、教育やらジェンダーやらを切り口としてニッポンの現状、と言うより“惨状”を踏まえ、そのうえで物語が組み立てられていて、“今の話”になっているのがよかった。“今の話”をやるドラマはえてして説明やら説教やらが鼻につくことになりがちなのに、どれもそうなっていなかったしね。
アナ:わかります。特に「対岸の家事」と「じゃあ~」は私の周りでも関心、と言うより共感を寄せている女性が多いことが実感できました。
主演賞・助演賞も発表
アナ:では、ホン以外の要素ではいかがでしょう。
林:4作とも主演から助演までの座組みがしっかりしていた。2025年の連ドラに出た役者に賞を出せるのなら、主演女優賞は「じゃあ~」の夏帆、助演女優賞は「対岸の家事」の江口のりこ、主演男優賞は「御上先生」の松坂桃李、助演男優賞は「じゃあ~」の竹内涼真を選びたい。特に竹内は、これまで演技に感心したことがなかった役者なのに、亭主関白体質から抜け出して変わっていく芝居に、なんだか説得力があったな。
アナ:よくわかります。「しあわせな結婚」の阿部サダヲさん、松たか子さんも林さんのお気に入りの役者さんですが……
林:あの2人には2025年のペア主演俳優賞を差し上げましょう、フィギュアスケートのペア競技みたいに。2人のからみはなんだかウディ・アレンとダイアン・キートン……とまではいかずとも、ビリー・クリスタルとメグ・ライアンのようだったもの。
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