「渡辺謙の億単位の借金をすべて整理」 コワモテで鳴らした“芸能界のドン”ケイダッシュ・川村会長の素顔【追悼】

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2025年に亡くなった有名人たち(第2回)

 7月30日、渡辺謙(65)を世界的俳優に導くなどの辣腕(らつわん)ぶりで知られた大手芸能事務所「ケイダッシュ」の川村龍夫会長が亡くなった。昭和の芸能界から一代で身を起こし、“芸能界のドン”の一人として畏れられた名物会長の素顔を近しい人々が明かす(以下、「週刊新潮」8月14・21日号をもとに加筆・修正しました)。

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「ケイダッシュ」といえば俳優の高橋克典(60)やタレントの堺正章(79)を擁する、業界でも指折りの芸能事務所である。お笑いコンビのオードリーが所属する「ケイダッシュステージ」やモデル事務所など複数の関連会社を抱える大所帯だ。その“ドン”の最期について、芸能関係者はこう明かす。

「川村会長は京都の祇園で旧知の友人たちと定期的に会合を開いており、29日それに参加していました。10年以上前に大腸がんを患った川村会長は、いつもならお酒を飲んでも最初の一杯程度でしたが、この日はよほど楽しかったのか珍しくシャンパンなどで杯を重ねていたそうです。そして翌朝、ホテルのロビーに降りてこないので部屋を訪ねると、そこで亡くなっていた」

 検死で事件性はないと分かった後、8月1日には遺体が自宅に運びこまれたという。弔問にはケイダッシュ所属の俳優らに加え、田辺エージェンシーの田邊昭知会長(86)、バーニング創業者の周防郁雄氏(84)といった大御所たちも訪れていたという。

渡辺謙の借金を全て整理

 芸能界ではコワモテとしても知られたが、ほれ込んだタレントはとことんサポートした。93年に立ち上げた自身の事務所ケイダッシュで坂口憲二や伊原剛志などの俳優を育て、中でも渡辺謙とは特に深い関係を築くことになった。先の旧友が語る。

「最初に渡辺の面倒を見ると川村さんが言い出した時は、思わず止めました。2001年当時、渡辺は妻の多額借金報道の渦中にあり、さらに白血病を患っていたこともあったからです。それでも川村さんは“本当に良い俳優だと思う”と言って、彼の抱える億単位の借金を全て整理してしまったのです」

 感動した渡辺は「そんなつもりじゃない」と拒む川村氏に当時の事務所の社長同席で頼み込み、ケイダッシュに移籍したという。

『ラストサムライ』で起死回生

 さらに渡辺の起死回生のきっかけもつくった。

「ハリウッドから『ラストサムライ』のオファーが来た時、渡辺は構想がピンとこず断ろうとしたのです。それを川村さんが“ギャラも良いし、何よりトム・クルーズが主演なら絶対やった方がいい”と出演を決めさせました。その後、多くのオファーが海外から舞い込む中で『バットマン』を選んだのも川村さんでした。渡辺は世界的知名度を得る機会を与えてくれたことに深い恩義を感じており、毎年1月に行われる川村さんの誕生日会では、その傍らに立ちっぱなしで食事に手を付けず、関係者へのあいさつに当たっていました」(同)

 そんな渡辺を川村氏も「理想的な俳優」だと尊敬しており、23年の独立後も親交は続いたという。

 川村氏と親しかった、生島ヒロシ氏(74)が言う。

「雑談の中ではとりわけ渡辺謙さんを褒めちぎる話題が多く、それだけ敬意を持っていたのでしょう。彼の活躍が励みになるのか“90歳までは頑張らないとな”とよく言っていました。足の調子が悪くなってからは大好きな競馬も控えていたようですが、まだまだ意気軒昂だったと思います」

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